僕が大学入試のため初めて福岡に一人で行った時の話
僕は大学受験を終え、帰るまで暇をつぶそうと博多駅構内をうろついていた。
すると「ステーションシネマ」という名画座を見つけた。
「名画座」とは、旧作映画を上映する映画館の総称で、当時1500円だった映画が旧作とはいえ500円で見られるということで、大して見たくはなかったが「フェノミナ」という恐怖映画を見ることにした。
中は通常の映画館と変わらない作りだったが、床にはゴミが散乱し、乞食のようなじいさんが椅子に寝ていたり、ちょっと異様な雰囲気だった。
田舎から出てきた僕は、都会はこんな変わった映画館があったり、乞食がいたりする事は珍しくないんだ。すごい街なんだな~。と只々驚いていた。
僕は一番前の列で見上げるように映画を見た。
”しかし、怖い映画だな・・・もうちょっと、楽しいのにすれば良かったな”
などと思いながら、映画を半分位見終わった頃、後ろから中年の禿げた紳士が歩いてきた。
場内はガラガラの席であるにも関わらず、その紳士は僕の隣に座ってきた。
その紳士は「映画好きなの?」と話しかけてきた。
僕は”映画見てる時に話しかけるなよ”と思いつつ
「あ、はい。好きです」と答えた。
すると、紳士は「お~、そうかそうか、じゃあ丁度いいね」と言った。
僕は「丁度いい」という言葉から、何故かこの紳士が映画関係者かもしれない、とちょっと期待した。
当時僕は親に猛反対され諦めたが映画の世界に入りたくて、映画の専門学校に行きたいと親と喧嘩したほどの映画好きだった。
”もしかすると、これはチャンスかもしれない、この紳士に気に入られれば映画界にはいれるかもしれない”
何故かそう思った僕は、その紳士の質問に丁寧に答えた。
紳士の質問は段々と熱を帯びてきて、僕が答える度に僕の太腿を「そうかそうか」とポンポン叩くようになってきた。
ひとしきり話すと、質問もなくなったのか紳士は僕の太腿に手を置いたまま何も話さなくなった。
僕は話をしながらも映画を見ていたので、そのまま映画を見続けたが
僕の太腿の上に乗せた紳士の手が妙な動きを始めた。
映画のシーンが変わるごとに「そうかそうか」と言い、太腿を叩いていたが
その手は段々と股間に近づいていく。
「ん?なんか、おかしいぞ」
と思いつつも、映画を最後まで見たいので動けない
しかし、やはり不安になり、視線を下ろすと、太腿に置かれた紳士の手は、小指をピーンと伸ばし、僕の秘部まであと5ミリくらいの位置まで近づいていた。
僕は驚き、横目で紳士の顔を見ると、紳士は僕の股間を凝視し、僕が見ていることすら気付いていない。
”なんだ、このオジさん。映画関係者じゃないのか!”
カンの良い人ならタイトルで分かったと思うが、そう、ここもゲイの溜まり場だったのだ。
”ヤバイ!この場から逃げないと”
後ろを振り返ると、同じような紳士が何人も居た。
”こ、こいつらもグルなのか?”まわりの人すべてがゲイに見えた
”ここで慌てて立ち上がると、取り押さえられてヤられるかもしれない”
恐怖はどんどん大きくなり、自分の鼓動が聞こえる程になった
そしてついに・・・
紳士の小指が・・・僕の股間に触れた、その時
「キャ~~~~~」
映画のヒロインが悲鳴をあげた
僕は、ヒロインが逃げるのと同じように
「わぁ~~~」と悲鳴をあげて席から走り去った。
田舎者の少年が味わった都会の洗礼は・・・恐怖映画より何倍も怖かった。
追記)
小倉駅近くに「名画座」という名前の映画館がありますが、そこは成人映画専門の劇場です。
安いと思って間違って入らないようにしてください
分かって入るのは止めませんけどね(;´д`)
関係ないけど
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