友人の父との思い出 | ジュンちゃんのひとりごと

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その日の気になったもの・出来事なんかを書いていきます

先日友人の父が亡くなった。

高校時代、オールナイトの映画によく連れて行ってくれた恩人だった。
「インディー・ジョーンズ魔宮の伝説」という映画を友人の父と2人で見る機会があった。
当時の僕からしたら40過ぎのおじさんであった友人の父だったが
「こりゃぁ最高におもしろかったなぁ」
と僕と同じくらいはしゃいでいた。
僕はこんな子供のような心を持ったお父さんがいる友人が羨ましかった。
その他にも釣りに連れて行ってもらったり、家族のように扱ってくれた。

そんな友人の父が亡くなったと聞き、僕は友人の家に車を走らせた
突然のお別れに、唖然とし、僕も友人も亡くなった事実を受け入れられないでいた

そんな皆が悲しみに浸っている会場で、突然、場違いとも言える笑いが起きた


僕が20歳頃の正月
友人の家に遊びに行くと、誰かの思い付きで、雪の降る極寒の日本海で釣りをする事になった。
皆は暖まるようにと、気合いを入れ日本酒をあおった。
相当寒かった筈だが、酒のおかげで寒さを感じなかった。
皆はカレイを釣ろうと、とある港のテトラポットに陣をはった。

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友人、友人の父、友人の弟、その他の友達数名が適当な間隔あけて座り、海に糸を垂らす。
友人には年の離れた3歳くらいの弟「テルちゃん」がおり、テトラポットを右に左に忙しく走っては父に叱られていた。「こらテル!危ないからはしるなっちゃ!」
何度叱られてもやめないテルちゃんを微笑ましく見るみんな。
「テルちゃん。お父さんの言う事を聞かんにゃぁ、海坊主にさらわれるぞ~」
と、誰かがからかう。
そうこうしてるうちに誰かが20cmくらいのカレイをつり上げた。
以降、5分くらいあけては次の誰かがまたカレイを釣り歓喜の声をあげた。
5分間隔で「こら!テル!」という大声と、「やった~」という喜びの声がリズム良く響いていた。
30分以上過ぎ、テルちゃんも少々お疲れで、怒鳴り声も少なくなっていた頃
テトラポットの端の方から

ドボ~ン

と、人が落ちたような大きな音がした。

・・・まさか・・・・

みんなはテルちゃんの姿を探した。
友人の父は「おい!テルはおるか?テルは大丈夫か?」と叫ぶ
姿が見えないテルちゃん
皆は息を飲む

「おい!テル!返事せんか~!」

友人の父が大きく叫んだ。
すると
テトラポットの陰からニュッと顔を出すテルちゃんがいた。

「お~~ よかった~~~ テル~~。海に落ちたかと思ったぞ~~」

みんなは安堵の顔に戻った。
・・・しかし・・・
まだ、見えない場所からザブンザブンと大きな音がする。
耳を澄ますと

「お~~い お~~~い」

という声
・・・あれ?テルじゃない誰かが溺れてる・・・
皆はテトラポットの端に駆け寄った

そこには

「テルちゃんじゃないで~~す。ボクで~~す」

と叫ぶ




「僕」が海に浮いていた



お酒を飲み過ぎたせいでフラフラになって足を滑らせ、強制的に寒中水泳をすることになった僕。ダウンジャケットに染みていく極寒の海の水は、僕を海の底に引きずり込むように重くなっていく。
僕の悲しみと反比例するように、上から眺めるみんなの笑い声は大きくなっていった。

この話を友人がした時、通夜の会場で笑いが起こった。
そして友人はこう話してくれた
「父さんはこの話が大好きでのぅ、正月とか海に行った時、オマエのいない時でも、楽しそうに何度も何度も話してたんよ。」

僕は通夜であるというのに・・・なんだか嬉しくなって・・・泣いた。