このブログでは、漫画「薬屋のひとりごと」10巻に対する感想を書いています。

こちらは後編その2です。

前回のブログを未読の方は、「薬屋のひとりごと 10巻 後編その1」をお読みください。

ネタバレ注意です。

 

 

水晶宮の物置小屋で見つかった堕胎剤。

正確には、その材料となりうる香辛料と香油のようですが…

事が事だけに、水晶宮の応接間には、最低限の人間だけが集められました。

 

おなじみ壬氏と高順、水晶宮の主である梨花妃、マオマオ、そして水晶宮の侍女頭で梨花妃の従妹でもある杏です。

 

杏って梨花妃の従妹なのか!どおりで面差しがどことなく梨花妃に似ています。

 

「なぜ禁止された交易品を持っている?」

「何をしようとしていた」

 

壬氏からの尋問にも

 

「なんのことかわかりません」

 

と返す杏。

 

確かに物置に隠されていた数種類の香油と香辛料たちが、杏の物であるという証拠はありません。しかし、今日の杏からはそれらの残り香がしていることにマオマオは気付いています。

 

壬氏の、

 

「詳しくはあの場にいた下女に聞けばわかることだ」

 

という言葉にも、

 

「熱にうなされて朦朧としている下女の言はどこまで信頼できるのですか」

 

と返す杏。

 

なかなか手ごわいわね…と思っていると、すかさずマオマオが突っ込みます。

 

「熱にうなされていたことは知っているのですね」

「実にお優しい」

「わざわざ端女(はしため)の容体を見に来てくださるなんて」

 

なんとも嫌味なマオマオの言葉!(笑)

しかしマオマオの立場としては、これ以上は出過ぎた発言になってしまう可能性もあります。

そう分かっていても、腹を立てているマオマオは止まりません。

 

「身体に香油の匂いが残っていてもおかしくないわけですね」

「今日の杏さまは この香油と同じ匂いがします」

 

いいぞマオマオいったれいったれ!

 

「この瓶は行李の中に置かれていました」(※行李とは、箱型の入れ物のこと)

「果たしてにじみ出すほど強い匂いでしょうか」

「念のため確かめさせてもらえませんか?」

 

言いながら杏に近づくマオマオ。

 

ぱしっ!

 

焦った杏は思わずマオマオの顔を叩きます。

 

開いた瞳孔、嫌な汗の臭い、どちらも緊張による反応だと分析するマオマオ。

もう一息…そう思ったところで、意外な人物が止めに入ります。

 

「その辺で 私に任せていただけないかしら」

 

梨花妃です。

 

よく見ると、今日の梨花妃の服装は、最近の玉葉妃の着ている、ゆったりとした服に似ています。

…あれ?、梨花妃もご懐妊だったりする?

だとすると、杏が堕胎剤を作っていたのは、もしや梨花妃のお腹の子を狙って…?

 

仮に堕胎剤を作ろうとしたならば、帝の子を殺すのと同義。

極刑は免れないでしょう。

 

梨花妃は杏に語りかけます。

 

「杏」

「年が近く、父の姉の子でもあるあなたのことを、姉妹のように思っていた」

「それでもあなたは、一度も『妃』扱いしてくれなかったわよね」

「国母にふさわしくないと そう思っていたんでしょう」

「あなたと私 最後までどちらが妃になるか わからなかったものね」

 

(確かに 杏は一度も「妃」と呼ぶことはなかった)

 

マオマオも思い返し、そう感じました。

 

「…何 上から目線で言ってるの?」

「そういうところが昔から嫌いなのよ!!」

 

激高する杏。

 

「勉強も作法も私の方ができた!」

「あなたよりも私のほうが優れているのに!」

「私はあなたよりも下なわけ?!」

「そんなわけないわ!」

「私はずっと国母になるために育ってきたのよっ!!」

 

梨花妃を罵り続ける杏を、壬氏の言葉が止めます。

 

「それは自白ととらえていいか?」

 

 

窮地に陥った杏は、堕胎剤を掴み、梨花妃に向かって振り上げます。

 

「石女(うまずめ)として花園で枯れるがいい!!梨花!!」

 

投げつけようとしたその瞬間、高順に取り押さえられる杏。

暴れて、高順に対しても、口汚く罵ります。

 

うーん、こんな国母はやだな…。

 

確かに梨花妃よりも優秀だったなら、相当な努力もしたのでしょうし、選ばれなくて悔しく思う気持ちは分かります。

だけど、優秀さだけでは測れない、妃としての器の大きさが圧倒的に違ったのだと、このやり取りからも分かりますね。

 

あと胸の大きさも圧倒的に違うね。現帝、巨乳好きだもんね。そこんとこ大事。

 

「杏、今までずっとそんなふうに思っていたの?」

 

言いながら杏に近づく梨花妃。そして…ーーーーーー

 

ぱしんっ

 

梨花妃の平手打ちキターーー!

 

「壬氏殿、私はこの侍女頭を解雇します」

「今後一切 後宮への立ち入りを禁じてください」

 

呆然とする杏。

更に殴ろうとする梨花妃。

焦って止める壬氏。

 

(やるなぁ)

 

と笑うマオマオ。

 

カオスな展開に見えるけど、これは梨花妃の優しさだ。

こうする事で杏の極刑は免れるもの。

 

たとえ今後、杏が逆恨みしたとしても、醜聞で後宮を追い出された身ではどうすることもできません。

もう二度と、二人が並び立つ日は来ないのです。

 

そうして、なんとか一件落着。

 

病気で物置に隔離されていた下女はその後、後宮を出ることになったそうですが、責任を感じた梨花妃が、治療費や当面の生活費を出すと申し出てくれたお陰で、今より良い環境で治療することができるようです。

 

もし、梨花妃と杏が逆の立場だったとしても、きっと梨花妃は妬んだりしなかったんだろうなぁ。

侍女頭として杏を支える働き者になってそう。

 

そんで、胸の大きさが帝の目に留まり、杏より寵愛されるようになり、杏は妬んで…って、また同じような結果になりそうやないかーい!

 

梨花妃が妃で杏が追放されて本当に良かった!

 

そんなところで今回はここまで。

 

次は「薬屋のひとりごと 10巻 後編その3」へ!