このブログでは、漫画「薬屋のひとりごと」15巻に対する感想を書いています。
こちらは後編その2です。
前回のブログを未読の方は、「薬屋のひとりごと 15巻 後編その1」をお読みください。
ネタバレ注意です。
祭りが終わって宿に戻ると、そこには翆玲がいました。
子翠とマオマオに夜食を持って来てくれます。
夜食を食べつつ、手書きの虫図鑑を読んでいる翆玲をじっと見つめるマオマオ。
「なんだ?」
視線に気づいた翆玲が問いかけます。
「いえ そろそろ約束を果たしてもらおうかと思いまして」
「お前は人質なんだぞ」
「そんなことより蘇りの薬です!」
「曼荼羅華と河豚の割合はどのくらいですか?」
「他に入れる物は?」
「蘇った後の状態は?」
「すぐには動き出せないですよね?」
ずいっと翆玲に迫り、質問攻めにするマオマオ。
本当に人質か?(笑)
どこにいてもマオマオらしさを失わないのは流石です。
「…あれは元は人工的に奴隷を作る際に 意識をなくすための薬らしい」
「だから昏睡を長引かせる曼荼羅華はいらないと思う」
「私はこの程度で済んだが、失敗すれば記憶さえ失う」
左手の麻痺を見せながら説明する翆玲。
その言葉から、記憶を失った被験者がいるのだと察するマオマオ。
薬を作り出すのには、その効果を確認するための人体実験が必要不可欠。
その過程で命を落としたり、後遺症が出たりする事は重々承知の上でしょう。
それでも好奇心はおさえられず、興奮するマオマオ。
「では改良を加えたものは?」
「もう試したのですか?」
「まだ動物でしか試していない」
ならば!と、すっくと立ちあがり胸を張るマオマオ。
キラキラと輝く顔で人体実験の被験者に名乗りをあげています。(笑)
「お前では試さない」
一刀両断の翆玲。
「どうしてですか!?遠慮せずに!」
「人質だと言ったろう」
「それならもう少し束縛なりすべきと思いますが」
そんな二人のやりとりを、嬉しそうに見つめる子翠。
「仲良くなって良かったあ」
「お姉ちゃんもマオマオも友だち少ないもんね!」
笑顔でそう言う子翠(笑)
誘拐犯と人質の会話とは思えないほど和気あいあいとした雰囲気です。
心配している壬氏に教えてあげたいよ…。
翌朝、朝食の席には子翠、翆玲、そして響迂がいました。
翆玲は出かけるようですが、見張りがいるため、逃げようなどと思わないように、とマオマオに忠告していきます。
「お前 見張りをつけられるとか何やってんの?」
響迂の言葉に、寝起きでぼーっとしたマオマオは答えません。
ふいに朝食の並ぶテーブルの上を見ると、そこには異国の調合薬が書かれた書物や挿絵付きの薬草図鑑などが置かれていました。
眠気が吹き飛んだマオマオは大興奮。
朝食もとらずに早速読み始まます。
この調子なら、見張りなんていなくても、どこにも行かなそう。(笑)
食事も着替えもせず読書に没頭するマオマオの口に、朝食を運び、着替えさせ、髪を整えてあげる甲斐甲斐しい子翠。
その様子を見た響迂は
「神美(シェンメイ)さまみたいだ」
とこぼします。
また新たな人物の名前が出てきました。
誰だろう?
「響迂は食べ終わったならお茶碗片付けなさい」
そう言う子翠に、使用人にやらせればいいと生意気を言う響迂。
しかし、使用人に頼らないと何もできないなんてまだまだ子どもだ、と子翠に煽られると、悔しそうにすぐさま茶碗を片付けに行きました。
あっさり煽られてるあたりが子どもで可愛いです。
「いいとこの坊ちゃんなんじゃないの?」
そう聞くマオマオに、
「遠い東の国に 盛者必衰って言葉があってね」
「どんな強い者も いつかは老いるって意味らしいよ」
と答える子翠。
どんな名家でもいつかは滅びると言いたいようです。
子翠が言うといちいち意味深だわ。
話しながらマオマオの世話の続きをする子翠。
枕元に適当に置かれている簪を見てため息をつきます。
「マオマオ この簪いいものだから ぞんざいに扱っちゃ駄目」
「誰かに取られて売り飛ばされちゃう」
「いい値段つくかな」
子翠の呈する苦言も全く響かないマオマオ。
「これってかなりの技術で作られてるから、目利きが見たらどの職人が作ったかわかるよ」
「そうなると誰の注文で作られた品かもわかるし」
「最悪 くれた人にマオマオが売ったってばれる」
「……それは売り飛ばせないな」
壬氏が聞いたら悲しむ発言よマオマオ。普通に大事にして。(泣)
手際よくマオマオの支度を終えた子翠。
「手慣れてるね」
「慣れるよ」
「遅いとぶたれるもの」
「按摩(マッサージ)もうまくできないと熱いお湯を浴びせられるの」
「ほんと怖いんだ」
「ろくでもない主人だ」
「妓楼のやり手婆でも折檻の加減は知ってた」
「ふふっ。お母さまなんだ それ」
「だから マオマオはちゃんと大人しくしていてね」
そう言うと、子翠も出かけていきました。
(湯をかけてくるような親がいるのか)
(まあ小指を切る母親もいるしな)
そう受け止めるマオマオ。
いつも明るい子翠ですが、時折影が見え隠れするのは、そんな母親の存在があったからなのでしょうか。
あっけらかんと言うのがまた悲しいですね。
そうして一人残ったマオマオが、置いてあった書物を読み続けること6時間(!)。
まだ翆玲も子翠も戻ってきていませんが、休憩がてら部屋の窓から里の景色を見下ろすことにしました。
最上階だけあって見晴らしがよく、里の様子がよく分かります。
ほとんどが刈り取りを終えた田んぼなのに、ある一画だけ青い稲が刈り取られずに残っているのが見えました。
横にある貯蔵庫か何かの影になっているから、育ちが悪いのでしょうか?
そういえばお祭りのときに子どもたちが、里長の田んぼには育ちの悪いところがあると言っていましたが、そこの事なのでしょうか?
「他の部分は綺麗に刈り取られているから」
「栄養が偏っているわけではなさそうだ」
(それなのに建物の影に隠れるように四角く稲が残っている)
(……もしかして)
と、いきなり大きく扉の開く音がして、驚いたマオマオの思考は急停止。
入ってきたのは響迂でした。
「……もう少し静かに部屋に入ろうか」
驚きのあまり窓から落ちそうになったマオマオは、怒りを込めて響迂の頭をぐりぐりぐり…(笑)
なんだかとても誘拐されて人質になっているとは思えない時間が流れているなぁ~と思ったところで、長くなったので今回はここまで。
ほのぼのした時間から一転、物語が動き出します。
そんな続きは「薬屋のひとりごと 15巻 後編その3」へ!
