1985年、シャープから発売された8bitパソコン(マイコンと言ったほうが良いでしょうか)、MZ-2500の修理記録。

※以下、この機種をよくご存知の方は次のセクションまで飛ばし推奨。

とりあえず、MZ-2500(以下mz25)って何ぞ?って方に説明すると、究極の8bit機、などと言われることもある古代のPCです。
このMZシリーズには問題があり、例えばMZ-80Bという有名なモデルがありますが、後継のMZ-2000/2200では互換性がイマイチで、かなりのソフトが動きませんでした。
最近で言うと、SonyのPlayStationシリーズの話題がわかりやすいですね。PS3→PS4など、型番が新しくなる際に互換性が保たれないことは往々にしてあります。次に出るPS5は旧世代のハードの互換機能を有するとの話ですね。簡単に言えば、MZシリーズにおけるPS5にあたるのがMZ25になります。
80Bと2000用の互換モードが用意されたので、(MZ-700等の系統を除く)それまでのソフトウェア資産がほぼ完全な形で活かせたわけです。
そのため、今でもレトロハードやゲームを保守している趣味人の間では人気の機種なのですが、MZ25の紹介はここまで。


♯修理

某オクで一式出てたのでポチっと。
「電源は入るが起動できない」とのこと。
早速バラします。
(なんで布団の上なんだ、とか汚い、とか色々あると思いますがご容赦を笑)

症状としては、一応電源が入り、リードエラーが出る。ただ、FDDがそもそも動いていません。ファンの回転も異様に遅い。そしてお決まりのリセットが効かない状態。

幸いにして、MZ25は以前持っておりましたので、正常な状態がわかる分、故障個所の割り出しは比較的簡単でした。

まず、リセットの問題について。
メインボードの真ん中あたりにある時定数のコンデンサの劣化や、リセットスイッチのあるカンガルーポケットのフレキシブルケーブルの接触抵抗によってリセットが効かなくなります。

これは、コンデンサの交換とフレキの接点活性で直ります。(フレキがカーボン蒸着の安物なので、万全を期すならケーブル交換したほうがいいかも。)

リードエラーで起動しない問題とファンの回転が遅い問題ですが、FDDを2基とも外して電源を入れるとファンが通常回転。電源が悪いか、FDDが悪いかの2択ですね。

問題を切り分けるため、FDDを1つずつ繋いで検査します。

FDD1のみ……電源すら入らなくなった
FDD2のみ……動作

調べたところ、FDDの電源ラインが短絡していました。そりゃうまくいかんわけです。(電源飛ばなくてよかった……かなり危険でしたね)

FDDの基板、電源コネクタのすぐ近くにあるタンタルコンデンサが劣化し、短絡状態になっていました。

コンデンサの故障といえば、電解コンデンサの液漏れはよく話題になりますが、タンタルコンデンサの故障状態は「短絡」です。

タンタルは危険ですね。このまま電源を入れ続けると電源回路の12Vレギュレータ等がやられてしまい、中には入手困難な部品もあるため最悪は復活不能になります。

よく某オクの整備済み旧ハードで、マザーボードの少容量コンデンサ「タンタル化済み!」等の文言を見ますが、ゾッとしませんね。マザボ上で短絡された日にはROMが飛びますよ。


で、MZ25ですが、マザボ上のコンデンサをほぼ全数交換、FDDのタンタルコンデンサは怖いので電解に置き換えました。

電解コンデンサは電解コンデンサで、寿命で液漏れすることがあるので、これから5年毎くらいには交換していきたいところですが、とりあえずこれで修理完了。

え?電源がまだって?
ごめんなさい、面倒だったのでまた今度です。
(x68k等と違って電源はそんなに弱くはないですし)

↓修理完了(一応、修理に加えてFDD含む本体の分解清掃はしてます)

↑BasicM25起動 ↓TelephoneSoft起動


後日、専用モニタではなく液晶に映してみたくなり、変換ケーブル自作→液晶投影に成功しました。次の記事で書く予定。