心に穴があいている。
ポッカリ穴があいている。
穴があったら覗 きこむのが人の道。他家の塀にあいた穴でもなし。風呂屋の男女を分ける壁の穴でもなし。自分の心を覗き込むのに弊害はナシ。
左目をつむり、右目を穴に近づける。
真っ暗な空間に浮かぶ球体。
穴から射し込む光を受けて、球体は遠慮がちに、でもキラキラと輝く。
穴に腕を突っ込んで球体を引っ張り出す。それは弾力があり、柔らく、暖かい。
スーパーボール?
試しに壁へ投げてみる。
壁に当たるとより勢いを増し、あらぬ方へと飛んで行く。
また別の壁に当たり跳ねる。
また別の壁に当たり跳ねる。
時には床に当たり跳ね上がる。
また壁に当たり跳ね回る。
追いかけて、捕まえようと試みるが、二度と触れるコトはできない。
いつしか、その姿を見失う。
そもそも、心の中にあるモノを持ち出しては宜しくなかろう。心が空っぽになってしまったではないか。
…虚無、虚無、虚無?
もう一度、穴を覗き込む。
またあった…球体。
そら、もともと妄想なので必要なら現れるかと…。
なかなかヤルな!
もう一度、穴に腕を突っ込んで球体を引っ張り出す。
以下略
コレじゃ、穴が塞がらないじゃない!