高校生の頃、発端が何だったのか思い出せないが、
母がカンカンに怒って、
私の頭上でプラスチックの1lの水筒を
振り回したことがあった。
運悪くその水筒が私の後頭部にぶつかった。
痛みを感じたが、その瞬間は気にも止めなかった。
そのまま母が起こり続けたので、
私はうなだれて聞いていたが、
ふと後頭部に手を当てると何か湿っている。
手を見ると、真っ赤な血が付いていた❗❗❗
その瞬間、私は驚いて泣き出してしまった。
母もまさか出血させるとは
思っていなかったのだろう。
急に黙りこんでその場を立ち去り、
何事もなかったように家事を始めた。
悪かったとも、大丈夫かとも
何も声を掛けてはこない。
私は独り、べそをかきながら
病院に行って診察してもらった。
結局、表面から出血しただけで、大事には至らなかった。
母は頭に血が上ると掴みかかってくる事がある。
私は母が気の毒になり、大抵私の方が負ける。
今回も私は抵抗せず、
病院でも
"転びました"
と伝えた。
後になって、
"母に殴られた"
と言えば良かったと思った。
そしたら、母は警察にしょっぴかれて
こってりしぼられただろうに。
こんな事になっても母を擁護する私は
何てマヌケなんだろう。
うちに母の友達が遊びに来たとき、
私を同席させては、
"うちの娘はこんなにアホなんですよ~❗❗"
と言って私の失敗談などを披露して
客人の前でゲラゲラ笑い飛ばした。
私は恥をかいて独り傷つきながら
お客様に失礼が無いように
愛想笑いをしてやり過ごした。
私がいかにしょうもない娘かということを
散々語りつくし、
"だからあなたからも叱ってやってください"
と客人に向かって言った。
あまりにも私を不憫に思った客人は、
説教する代わりに、こう言って私を擁護した。
"うちの娘の友達がね、
あまりにも厳しくしつけられたせいで、
嘘をつくようになってしまったの。
だからあまり厳し過ぎない方がいいと思うわ"
私は心の中で微笑んだ。
このおばちゃん、ちゃんと分かってるじゃない!!!
しかし、予想に反して
自分の味方をしなかったその客人に対して、
母は激怒して、
さっさと客人を追い払ってしまった。
客人のおばちゃんは、
同情するような目で私を見つめて、
そのまま素直に帰ってしまった。
またこの後は母にどつかれるんだろうと思いながら
私は意気消沈した。
でも珍しく加勢してもらえて、
この日ばかりはちょっぴり嬉しかった。