『塾をやめたら、月謝の分を
お小遣いとしてあなたに毎月あげるわ』
私が中2の時、
真顔で母が私に言った。
聞き間違いではなく、本当にそう言い放った。
読んでて読者の皆さんは、
恐らく意味が分からないと思う。
私の母方の祖母は教育者で、教育熱心だった。
兄二人が難関大学卒で、姉妹は皆、
母も含めて教育者。
だから母はとにかく勉強ばかりさせられて
家事が一切出来ない状態で嫁ぎ、苦労していた。
それが恨みがましかったらしく、
私が自主的に塾に通い始めたら、
『女は勉強より炊事が大事。
料理が苦手じゃお払い箱だ』
が口癖だった。
勉強が苦手だった私は、
高校受験に向けて本気でどうにかしなければと
通塾を決意した。
母はそれを"金の無駄遣い"だと思っていたようだ。
変わって父は教育熱心で、
私が通塾したいと申し出たら大喜びで
毎晩夜食を用意して、帰宅した私を出迎えた。
母は何とかして私の通塾をやめさせたいと思い、
テイいい嘘を思い付いた。
それが1~2行目のセリフだった。
当時物欲の塊だった私は、
あっけなくその嘘に騙された。
塾をやめた翌月、
『お母さん、約束してた月謝分のお小遣いは???』
『え????
あーそんなの本当にあげるわけないじゃない。
それくらいの事言わないと、あなた塾やめないでしょ❗』
母はなんの悪びれもなく
シャアシャアと言ってのけた。
母を信じた私がバカだった。
2万円なんて大金を、中2の娘に毎月くれるはずがない。
母への信頼が音を立てて崩れ落ちた。