激しく雨の降る日だった。
沙良は傘を差しながらトボトボと1人下校していた。
ドサッ
突然何かが倒れるような音がした。
俯いていた沙良は何事かと顔を上げた。
すると少し先に誰かが倒れている。
鈍感な沙良は最初寝ているのかと思った。
しかし雨の日に道端で寝るなど、普通の人ならありえない。
そろそろと近寄って倒れた人を見た。
来ている制服を見て男子中学生と判断した。
濡れたアスファルトにうつ伏せになっている。
冷たそうだなぁ、と思いつつ沙良はその中学生の近くにしゃがんだ。
沙良「あの……」
自分の傘を差し出して、濡れないようにした。
声を掛けると中学生はピクッと反応して薄っすらと目を開いた。
沙良「大丈夫ですか?」
中学生はじっと沙良を見つめて、ゆっくり起き上がった。
髪も制服もかなり濡れてしまっている。
不安そうに見つめる沙良を他所に、中学生はフラフラと立ち去ろうとした。
沙良は慌ててその中学生に傘を差し出した。
中学生は「は?」という顔をして沙良を見た。
沙良「使って下さい、これ以上濡れたら制服乾かなくなっちゃいますよ」
それでもその中学生は傘を受け取ろうとはしない。
沙良は手を取って持たせた。
沙良「返さなくて良いので。風邪ひかないでくださいね」
そう言って沙良は濡れないように家まで走って行った。
中学生は無理矢理渡された傘を持って、沙良の後姿を見ていた。
「いらないのに…」
RainGirl
母「あれ、沙良どうしたの?傘持ってたでしょ?」
沙良「中学生が雨の中フラフラ歩いてたからあげちゃった」
母「あらそう、じゃあ新しいの買って来ないとね」
走って帰ってきたとはいえやはり濡れてしまった。
沙良は母親からタオルを受け取ってバスルームに行った。
シャワーを浴び終わると部屋着に着替えて私室にこもった。
髪も乾かさずに窓を開けた。
もう雨は止んでいて、空は見事な星空だった。
沙良「(明日は晴れるかなぁ…)」
そのまましばらく空を眺めていた。
ピリリリリ ピリリリリ ピリリリ ピッ
沙良「もしもし」
?「ちゃおッス」
沙良「あ、お久し振りですリボーンさん。何か御用ですか?」
リボーン「お前、並盛中に転校してこい」
沙良「は、はぃ?私高校生なんですけど」
リボーン「いいから来い、手続きはもうしてある」
沙良「…はあ、制服はどうしたら?」
リボーン「もうすぐ届くだろ」
ピンポーン
沙良「…届いたみたいです」
リボーン「そうか、詳しいことは明日説明する、じゃあな、ちゃおちゃお」
沙良「おやすみなさい」
ピッ
沙良は携帯を閉じて溜息を付いた。
沙良「また転校か…、マフィアも楽じゃないなぁ」
窓を閉めてベッドに入った。
沙良は約1年ぶりの中学校のブレザーに身を包んで並盛中にやって来た。
その顔は少し憂鬱さが感じられる。
それもそうだろう、年下だらけの中学校に転校する高校生など聞いたコトがない。
というか普通は転校できない。
沙良「(私のクラスは此処か…、何で2年生なんて中途半端な学年に)」
そう思いながら先生に案内され教室に入った。
すると沙良が入った瞬間教室がざわめいた。
先生「転校生の彩浪沙良さんだ」
沙良「…よろしくお願いします」
何で中学生に頭下げなきゃいけないんだろうと思いながらしぶしぶ先生に従った。
一方今日からクラスメイトとなる人達は(特に男子は)「かっ、可愛いww」と思っていた。
先生「彩浪の席は…そうだな、沢田の隣がいいんじゃないか?」
ツナ「(え//俺っ!?)」
沙良はスタスタと席に向かい鞄を置いた。
隣にいるのは明らかに動揺している可愛い男子だった。
沙良「よろしくね、えっと…」
ツナ「さ、沢田綱吉です」
沙良「綱吉?綱吉ってリボーンさんの…」
ツナ「え、リボーン知ってるの?」
?「おいツナ、2人の世界に入ってないで紹介してくれよ」
ツナ「あ、そうだね、えっと、コッチが山本で、向こうから睨みつけてるのが獄寺くん」
山本「よろしくなっ」
沙良「こちらこそよろしく、山本くんって呼んで良い?」
山本「勿論、俺も沙良って呼んで良いか?」
沙良「うん」
意外と楽しそうかも、と思う沙良であった。
先生「彩浪は風紀委員に入りたいそうだな」
沙良「え?」
ツナ「あ、彩浪さん本気!?風紀委員って雲雀さんの…!」
山本「止めといた方がいいんじゃねぇか?」
沙良「え…っと」
沙良は悩んだ。
綱吉や山本はこう言っているが、風紀委員に入りたいなんて沙良は一言も言っていない。
つまり、リボーンが仕組んだと思われる。
リボーンの命令は無視出来ないので、ここは大人しく従った方がよさそうだ。
沙良「…大丈夫、やります(断ったら多分殺されるし)」
先生「そうか、じゃあ昼休み応接室に行ってくれ」
沙良「分かりました」
昼休み
山本「本当に大丈夫か?俺達付いて行こうか?」
ツナ「雲雀さん怖いから、無茶しないでね」
獄寺「10代目に心配掛けさせやがって…怪我でもしたら承知しねぇぞ!」
沙良「大丈夫だよ(風紀委員ってそんなに怖いの…?風紀委員なのに?)」
綱吉達と別れて、沙良は言われたとおり応接室に向かう。
胸に不安を抱えながら慎重に応接室の扉をノックした。
?「入っていいよ」
沙良「…失礼します…」
静かに扉を開けると、ソファーに腰掛けている少年が見えた。
なんだかとても見覚えがある。
?「君は…」
少年も沙良に覚えがあるようだった。
そして少年の着ている学ランを見てピンと来た。
沙良「(昨日の倒れてた人だ)」
?「何しに来たの」
沙良「え、あの、先生に昼休み応接室に行けって言われて…」
?「まさか君が風紀委員に入るっていう転校生…?」
沙良「はい」
何で中学生にビクビクしなきゃいけないんだろうと思った。
しかし綱吉達の言っているコトを思い出して、慎重に接しようと心がけた。
?「君、名前は?」
沙良「彩浪沙良です」
?「ふ~ん… 僕は雲雀恭弥だよ」
沙良「雲雀…さん」
雲雀「恭弥でいい」
沙良「(イキナリ?)」
雲雀「高校生が僕の並盛に何の用?」
沙良「(バレてるし)詳しいコトは私も知りません、りぼ…、上司に行けって言われただけなので」
雲雀「ふ~ん…どうでもいいけど、下手なコトしたら咬み殺すから」
沙良「(咬み殺す…?)」
雲雀「風紀のコトは草壁に聞けば分かる。あと放課後5時に校門に来て」
沙良「はい」
雲雀「話はそれだけ、帰って良いよ」
ツナ「あ、彩浪!大丈夫だったっ?」
沙良「うん、大丈夫」
獄寺「まったく転校早々心配させてくれるぜ」
沙良「獄寺くんも心配しれくれたんだ?ありがとう」
獄寺「べっ、べつにそんなんじゃねぇよ!!!」
山本「獄寺は照れ屋だなぁ」
獄寺「うるせぇ野球馬鹿!!」
賑やかな雰囲気に包まれ、沙良はクスクスと笑っていた。
そんな沙良を見て綱吉も微笑んだ。
リボーン「ちゃおッスw」
ツナ「あっリボーン!何処行ってたんだよ!」
リボーン「沙良、お前にプレゼントだ」
沙良「え?」
リボーンが沙良に投げたのは可愛いリボンだった。
沙良はそれを見て「可愛い」と呟いた。
しかしリボンの中に何かメモのような物が縫い付けられていた。
『ボスチーノファミリーを撃退せよ』
沙良の表情が一瞬曇ったが、すぐに笑顔になった。
沙良「ありがとうございますリボーンさん」
山本「赤いリボンなんて洒落たプレゼントだな小僧」
ツナ「そんな物いつのまに買って来たんだよ」
獄寺「∑あ、10代目!昼休みが終わってしまいます!」
ツナ「え、嘘!もうそんな時間!?急ごう彩浪!」
沙良「うんっ」
あとがき
長くなったので次回に続きます