サンティアゴの競馬場は、Hipódromo Chile と Club Hípico de Santiago の2場あり、前者は主に木曜と土曜に、後者は主に月曜と金曜に開催する。チリの競馬場は、加えて前日行ったバルパライソと今回は断念したがコンセプシオンの計4場で、重複がないようにスケジュールを組んでいるので、ほぼ毎日開催している。観光客にとっては有り難い限り。

 


Hipódromo Chile

 

アルマス広場からは地下鉄で数駅、Linea 3 の Plaza Chacabuco が最寄り駅。

 

地下鉄に乗り込んだ若者がバイオリンで奏でる音楽は、カルロス・ガルデルの大名曲 Por Una Cabeza。数多くの映画に使われた物悲しい旋律の佳曲ではあるが、特に有名なのは「セント・オブ・ウーマン」でタンゴを踊るシーンだろうか。

 

ただ、その歌詞といえば、邦題「首の差で」が示唆するように、買った馬券が首の差でハズレというのが歌い出し、そして少しの差で狙った女も的中しないと掛詞が続く。これから競馬場に行くのはあまりにも不吉な曲で苦笑いしながら聴くしかない。

 

立派な入口の右側から入場する。レーシングプログラムもここで購入。写真撮影は禁止と言われる。(なのでカメラではなくスマホで撮影)

 

チリの競馬は真昼から午後9時過ぎまでやるようで、ここもプログラムを見ると第1レースは12:45で最終19レースは21:15の発走。明るい内から楽しむ人もいれば、仕事帰りに後半戦に参加する人も多そうだ。コースはダートのみの左回り、雲一つない青空だが猛暑なので大半の客はスタンド内の冷房を求めて外に出てこない。

 

 

穴場はこんな感じ。馬券は単勝・複勝(2着払いと3着払い)・馬連・馬単・ワイド・3連単・4連単が買える。見ての通りでマークシートはないので口頭で購入。絶対に間違えてはいけないので確実にスペイン語の数字の練習になります。

 

到着時は既にレースは始まっていて、次は第6レース、2歳牡馬の1200m未勝利戦だが9頭立てのうち4頭がデビュー戦と新馬戦のようなもの。パドックで吟味した後はあまりの暑さにスタンドの日陰に入りレースを見る。馬体を見てデビュー戦の7番 Beso al Cielo の単勝から。天国のキッスなんて歌もあったし、日本にもキストゥヘヴンなる桜花賞馬が居たなあと思うが、こやつは牡馬である。直線のもうひと伸びが足りず4着。

 

次のレースは3歳以上の1000mハンデ戦、といっても55,56,57kgだから斤量差はあまりない。ここも10番 Ciao a Tutti の単勝でいくが、直線で長い脚を使い追い込むも少し足りず惜しくも2着。第8レースは3歳の1200mで2勝クラス。これなら馬連でもいけると2番人気の La Sinfo から5点流すが、これは9着に惨敗し流した相手が1着2着とタテ目で決着。2着が人気薄で馬連45倍はこれは痛い。

第9レースが本日のメインレースで、Sociedad Hípica Luis Cousiño (Listed) で3歳以上牝馬の1400m。6頭立てと少頭数なので2連勝中の4番Dreams Jokeから2点に絞り込み流すが、肝心の軸馬がダメ。第10レースは2歳牡馬の1200m未勝利戦で、5番 Sin Pasado の単勝に張ったら9着惨敗。パドック見ているのだが相馬眼がないよなあ。

 

第11レースは16頭立てに恐れをなして(苦笑)パスしてギフトショップで土産を物色。Tシャツは丁度よいサイズがなく、ここでもキャップを買う。勝馬は7番の Norte Risueño だが、プログラム見れば日本から海を渡ったシーキングザダイヤ産駒、一票入れとくべきだったか。

第12レースは重賞のIsmael Rengifo Echeverriaで、3歳以上の1300mで11頭立て。そろそろ当てねばとこれまで以上に真剣に見たのが功を奏したか、1着 Kino, 2着 War Subjective で馬連的中。ただし一番人気で5点流しで馬連4.1倍ということは見事にトリガミ。まあ的中しただけ良しとしないと。

 

 

第13レースも馬連5点だがヒモが抜けてハズレ。第14レースは3歳以上の1000mハンデ戦、一頭だけ重賞戦線を連戦した15番 Sahara FLower の軸は堅いとみて馬単5点流し、しかし2着に最低人気が突っ込みハズレ。馬単を外して悔しがる私の隣席で、ちらりと複勝の的中馬券を見せたオヤジは勝負師の顔でしたな。

第15レースは的中が欲しいと5頭ボックスにしたがダメ、第16レースも馬連の軸馬が11着と惨敗。あと3レース残るも明るいうちにホテルに戻るかとここまでとする。

 


Club Hípico de Santiago

 

朝は Café Haití​​​​​​ でコーヒー。ここ、ウエイトレスの制服がミニワンピースで Café con piernas と称されるサンティアゴ名物の生脚カフェ(笑) もっとも制服以外は普通のカフェで出勤前の常連会社員がコーヒー飲みながらウエイトレスと雑談している。

 

午前中は市内観光に当て、競馬場の最寄りまではバス移動。Google Mapで検索すれば候補の路線を出してくれるのは観光客の市内散策には便利になった。入口まで歩く途中で洋館のようなスタンドがお待ちかね。1923年に完成した歴史的建造物でロンシャン競馬場を模したもの。門の脇が入口で、ここでプログラムも売っている。

 

 

入場するとメインスタンドがお待ちかね。この1枚だけだと競馬場には全く見えないし、中に入るとこの通りでダンスホールの如くだが、もちろん競馬場のスタンド内だから馬券を売る穴場である。

 

 

パドックも欧州的な気品を感じされる。ロンシャンはまだ行ってないが、ドーヴィルのパドックがこんな雰囲気であった。

 

芝とダートの右回りコースで距離は多数、芝コースは1周2400mだから府中や京都よりも広い。直線に坂がない平坦馬場だ。

 

今日は21レース組まれているが、夕方のフライトで移動するので長居はできない。

第1レースはダート1200mの3歳以上1勝クラスのハンデ戦、1頭出走を取り消して14頭立て、2番の Stairway to Heaven の単勝。ツェッペリン号は逃げの一手に出たが直線が長い、案の定早々に捕まって6着。

 

 

第2レースもダート1200mだが3歳以上牡馬の未勝利戦。ご時世を反映する馬名が登場。私が狙った Great Twister は8着。こいつは5着。日本での馬名の基準では「著名な人物等の名称と同じ馬名」は登録できないから、流石南米はユルい。

 

第3レースは芝1100mの3歳以上ハンデ戦。最近の成績良い10番の Pampeado から5点に流す。あともう少しというところで7番 See Me に交わされたが馬連的中。ただし一番人気で配当は3.75倍にしかならずトリガミ。それも的中祝いやるかとレストランに行き昼食はビフテキ。付け合せのポテサラが結構な分量でお腹いっぱい。

 

 

ビフテキ食べながら第4レースの予想、条件は第3レースと同じ。5頭のボックス買いで的中するも、これも人気サイドで決まり6.65倍だからトリガミ。

 

 

フライトに間に合わせるためには次の第5レースが最後。これも芝1000mと短距離レースが続く。3歳牡馬の未勝利戦。13番の Cuarto C から流すもこれが3着までで、全くノーマークの10番 Makinen が1着となり単勝は75.5倍と大穴。馬連は171倍。未勝利戦はこういことが時々起こるが、こういう馬券を海外で当てたいもの。ちなみに11番はデビュー戦の Van Halen であった。

 

というわけでサンティアゴの的中はトリガミのみと惨敗。競馬場から去るときに入場券売りの兄ちゃんに「今日は勝った?」と声をかけられ「全然ダメですわ、また来る!」と返したけれど、次はあるかなあ。

 

そういえば、Por Una Cabeza の歌い終わりは、

Pero si algún pingo / Llega a ser fija el domingo / Yo me juego entero

次の日曜に駿馬に賭ける、であった。予定では日曜日はリオデジャネイロでG1である。

 

[2024年3月]