休み明けの月曜の朝は他の曜日よりも重たい気持ちと足取りで出勤する。

今朝も行きたくないなぁと思いながら起きて身支度して玄関を出た。

すぐそばにある中学校のグラウンドが騒がしい。

終業式でもやってるのかも。

そろそろ春休みが始まる時期だし。

見たくないから振り返りはせずにバス停に向かって歩いた。

 

バスを降りて会社に着くと今日も誰も居なくて朝から一人。

誰もいない方が静かで落ち着くから内心ホッとする。

中に入ると椅子の上に紙袋が置いてあった。

りおちゃんの好きなバームクーヘンのお店の紙袋。

だから兄か義姉が買ってきて置いてくれたのかと思った。

 

紙袋には「ホワイトデーです」と書いてネーム印が押された付箋が貼ってあった。

若い男性社員さんからだった。

 

この社員さんには旅行のお土産を何度かもらったことがある。

ずいぶん前だけどブログに書いたきびだんごも彼からのお土産だった。

りおちゃんを喪ってから出かけることもほとんどなくなってしまったしお返しがなかなかできない。

だからどこかに出かけた時にはお土産をお返しするようにしてるけれど、頂いてるほうがだんぜん多くて申し訳ない。

若い独身の社員さんだけど仕事も気遣いもできる人。

次もしどこかに出かけた時には喜んでもらえそうなものを買ってお返しをしようと思う。

 

今、会社のみんなが忙しい時期で出勤してても誰にも会わない日が多い。

だからお土産を置いてくれた社員さんとも1週間以上会ってなかった。

今日もきっと会わないし後でお礼のメールだけでも送ろうと思ってたら久しぶりに会うことができた。

仕事に必要な図面の印刷にだけ戻ってきたらしい。

直接お礼を言えて良かった。

 

印刷した図面を持って「現場に戻ります!」と言って出ていきながら彼が言った。

「○○さん(私のこと)って家族何人ですか?」って。

一瞬固まってしまった。

「今は旦那と2人です」と返すとすぐに言われた。

「じゃあバームクーヘン、ちょっと多いかもしれないです」って。

続けてすぐに返した。

「娘が居たけど亡くなったんです。でもここのバームクーヘン大好きやったから嬉しいです」ってすんなり話せた。

自分でも不思議だけどするっと話せた。

そこから少しだけりおちゃんの話になり、「(亡くなったの)いつですか?」「もうすぐ4年です」とかの会話。

そこで彼に電話がかかってきてそのまま話は終了。

現場行ってきますと言い残して出て行った。

 

自分でも不思議なほど自然にりおちゃんの事を話すことができた。

相手によってはこんなにも自然に話せる自分に驚いた。

少し前にパソコンのメンテをしてくれる人に話した時には後悔しかなかったのに。

相手への気持ち、関係性でこんなにも違うのかと。

 

お昼休みにパパへのLINEにバームクーヘンをもらったこと、少しだけどりおちゃんの事を話したと書いた。

りおちゃんが好きやったバームクーヘンやから嬉しいですってお礼を伝えたことも。

「泣きそうや」って返事が来た。

りおちゃんを溺愛してたパパは涙もろい。

りおちゃんを想うとすぐに涙が出る。

きっと今日、詳しいやり取りを話したら2人で泣くんじゃないかと思う。

りおちゃんを想って。

嬉しそうにニコニコしながらバームクーヘンを食べてるりおちゃんを思い出して。

パパもママもりおちゃんを大好き過ぎるくらい大好きやから。

 

たまたまもらったバームクーヘンがりおちゃんの大好きなお店のだったこと。

りおちゃんを知らずに買ってくれたものだけど嬉しいし有り難いと思う。

りおちゃんとパパとママと3人でいただこうね。

美味しいねって言いながら。

でも・・・本当は嬉しそうに美味しそうにバームクーヘンを頬張る可愛いりおちゃんを見たい。

また3人で買いに行きたい。

一緒に過ごしたい。

結局またその想いに辿り着いてしまう。

 

逢いたいよ。

逢いたくて逢いたくて毎日淋しい。

何年経っても淋しさは減らない。

逢いたい気持ちもどんどん募るだけ。

りおちゃんを大好きすぎるから仕方ない。