皆さんが英語を習得している過程で、よくYouTubeなどで耳にするのが「その学習方法は間違っていますよ」という指摘です。しかし実際のところ、本当に“間違っている方法”など存在しないはずです。どんな方法であれ、英語に触れている以上、確実に脳は何らかの形で英語を処理し、少しずつ習得に向かって進んでいます。極端に言えば、英語の音をただ聞き流しているだけでも、脳はそのリズムや発音の特徴を拾い続けています。ですから、どんな方法でも英語力の成長には必ず貢献しているのです。
ただし、ここで問題になるのは「自分が思い描く目標に、どれだけ効率よく到達できるか」という点です。学習方法によっては、目標に大きく近づく“近道”になることもあれば、逆に大きな“遠回り”になる場合もあります。さらに言えば、人によっては人生の中で目標地点にたどり着けないほど時間がかかってしまうことすらあり得ます。そういう意味で、「その方法では人生の時間内に到達できない」という点だけを見れば、“間違っている”と言いたくなる気持ちもわからなくはありません。しかし、学習そのものが上達を邪魔しているのではなく、単に必要以上に時間がかかっているだけで、英語を習得する方向に進んでいること自体は変わりません。
なぜ他の人は習得できているのに、自分だけうまく習得できていないように感じてしまうのか。その理由は「習得の順番」にあることが多いのではないでしょうか。もし積み木のように学習内容を積み上げていくとした場合、土台が弱いまま上に難しい内容を積み上げようとしても、グラグラしてしまい、全体が安定しません。また、人間の脳の仕組みを考えても、朝は調子が良いが、午後になると集中力が落ち、夜にはほとんど動かない──こうした日常的な変化は誰にでも起こり得ることです。つまり、脳に不必要な負担をかければかけるほど、効率は落ちるのです。それぞれの脳の状態や特性に合わせて、負担の少ない学び方を選ぶ方が賢明であり、また継続しやすいとも言えます。
個人差は当然ありますが、「その勉強法は間違っている」と断言するのは、やはりあまりにも乱暴な言い方です。どんな方法でも、必ず何らかの形で習得の役割を果たしています。ただし、その過程に必要な時間は大きく違ってくる、というだけの話です。私たちは残念ながら200年も生きられるわけではありませんから、限られた時間の中でできるだけ遠回りをせずに進むほうが良い、という考え方は理解できます。しかしそれでも、「完全に間違った英語学習法」というものは存在しません。方法は違っても、必ず前進しているのです。