1005.jpg  奇跡のような邂逅でした。『秀介ファイルNo.2』(辻真先/朝日ソノラマ文庫)。


 もうずいぶん前に絶版……つーか、初版発行が昭和62年ですよ。
 もともと流通してなかったのか、古本屋でも一回も見たことがありませんでした。


 えー、なんと研修で行った秋葉原の昼休みにゲット。


 この時代は濫作の時代で、辻ミステリとして見ると、ネタの使いまわしが多いような気がします。
 ただ、発行から20年近く経つライトノベルとしてみると、今や、もう80年代の史料としてもいい気がするのね。


 主人公は、平凡を装う天才少年。
 アイドルの恋人と地味にすごして生きたいのに、なぜかまわりで殺人事件が多発する。
 その影には、「安楽死保証組合」(通称:安保)と呼ばれる暗殺集団の影。窮地に追い込まれた天才少年は、恋人をスポークスマンとして事件を推理する……と、『名探偵コナン』を彷彿とさせる設定です。
 思うに辻真先という人は、早すぎた気がします。もうちょっとライトノベルを書く時代が遅ければ、メディアミックスでものすごいブームを巻き起こしえたかもしれないのに。


 辛口なことを書いても、たぶん、いつまでも辻作品というのは私のベースだと思います。

 初期の作品のいくつかは、宝物のように好きだし、特にこれから復刊する見込みのない、「マッドボーイシリーズ」が大好きです。
 これ、今、思ったけど、多分に新感線の世界なんですね。三つ子の魂100までも、ってホントだなあ(笑)。