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読んでみて、作品の内容とは別のところで、おもしろいなあ、と、思いました。やっぱりマンガにしろ小説にしろ、受け手の思い入れでどうにでも変わるんだな、と。
『テレキネシス――山手テレビキネマ室・1』(芳崎せいむ、東周斎雅楽原作/小学館ビッグコミックス)。
ドラマ制作に憧れるテレビ局の新入社員・マキノが配属されたのは、深夜映画の担当だった。
旧社屋のテレビキネマ室(通称:テレキネシス)で映画三昧を送る上司・崋山は社内でも問題プロデューサーだが、彼のまわりにいる人は彼のチョイスする映画を見て癒され……。
毎回ひとつの映画をテーマに、人の人生を描いていく連作短編です。
映画が好きな人には、たまらないものがあるでしょう。
が。
『金魚屋古書店』ほど、私を泣かせなかったのはなぜでしょう。
映画だってそれなりに見るし、もちろん劇場にも行く。好きな映画だって、いつまでだって語れる映画だってある。
じゃあ、なんで、『金魚屋』はあんなに私を泣かせて、『テレキネシス』は泣かさないのか。
それは、やっぱり私がマンガが好きだから。
映画好きの人なら、『テレキネシス』は面白かったけど『金魚屋』は別にね、って思うのかもしれません。
それはそれで全然いいと思う。
ガーーーッと100万人を引き付ける作品も、もちろん素敵。でも、限られた人にそっと届く物語だって素敵。
どんなに大劇場で見ても、隣の友達と私の感想は180度違うかもしれないし。
どんな作品も、やっぱり作り手と受け手のガチンコ勝負なんだなあ、と、しみじみ思ったのでした。