今日はもういっちょ いってみよ~{http://ucs-emoji.ameba.jp/img/user/ga/gannosukedannen/161951.gif}


このお話はユノとの会話をだいぶ加筆してます






~CROSS 第1章~3




そのまま始まった特訓

 
マネージャーとして触れ慣れてるはずのボールが別物のように重く感じる

 
ユノ先輩は持ち方や扱い方ののコツをひとつひとつ丁寧に教えてくれた

 
チャンミンの知らない二人の秘密

 
それがチャンミンへの裏切りのようで怖くもあり、いつもわがままに振り回されている仕返しのようで嬉しくもあった



 

そしてチャンミンが帰宅し、バスケの練習が始まった

 
案の定まだ私はうまく相手ができずボロボロな言われ様・・・

 
でもそんなこともユノ先輩との秘密の存在が吹き飛ばしてくれた


そして、しばらく私を弄んだあと、プチッとスイッチが切れたように


 
「や~めたっ‼ シャワー浴びる・・・」


 
と、ボールをゴールに放って行ってしまった

 
私は疲れ切ってその場に座り込み、去ってゆくチャンミンの背中を見送りながら、相変わらずの態度に思わず笑った


そんな私を見て


 
「何、ニヤけてんの?気持ち悪いなぁ・・・」


 
と不思議そうに言うチャンミンを


 
「ふふっ・・・何でもない」

 

と、かわした



 
その日以降もチャンミンが留守の時間を見計らって特訓は続いた

 
なかなか上達しない私に根気強く教えてくれるユノ先輩

 
秘密を共有することが二人の距離を縮めていく気がした

 
そのうちバスケの練習の時間よりも、二人でたわいもない話をしながら過ごすことが増えていった

 
やはりユノ先輩は住む世界が違う人で、私にとっては話しのすべてが新鮮で、逆に片親で育った私の話しを先輩は静かに頷きながら聞いてくれる

 
私はいつしかそんなユノ先輩に憧れ以上の感情を抱き始めていた

 
どんなに魅かれても手の届く人ではないのは分かっていても、心をコントロールすることはできなくて・・・

 
でも、この思いは告げることなどできるはずもなく、胸に押しとどめるしかない

 
ただそばにいることだけが気持ちのはけ口だった



 
そんな思いに気付いて間もない頃のこと

 
私は前にユノ先輩が言っていた特製ドリンクを作った

 
そして練習の途中で差し出すと

 

「作ってきてくれたの?」

 

と、目を輝かせて喜んでくれた

 

「私にはこんなコトくらいしか出来ませんから・・・
 
この特製ドリンク、母から教わったんです
 
母が学生の頃、やはりバスケをしていた父によく作ってあげてたもので、父も大好きだったって・・・」


 
「へぇ~、麻衣の両親は学生の頃からのつきあいだったんだ」


 
「はい・・・

卒業してそのまま結婚したそうです」


 
「それ、僕の憧れ・・・」


 
「そんな・・・
 
大学を卒業してすぐだったから貧乏しながら苦労したって・・・
 
ユノ先輩が憧れるような生活じゃありませんよ」

 

「それでもご両親は一緒にいたかったんだろ?
 
それってやっぱり憧れる・・・」

 

「でも結局私が3歳の時、不慮の事故で父が亡くなって・・・
 
私がパパが欲しいってわがまま言っても、母は父以外なんて考えられないって頑なに独り身通して・・・
 
でも確かに私もそんな母が羨ましかったりします
 
そんな人に出逢えて・・・
 
今でも父の話しをする母は少女みたいに顔を赤くしたりするんです
 
まだ父に恋してるみたい・・・」

 

「・・・心から愛する人と気持ちが寄り添えるって、人はそれだけで幸せだよな」

 
ユノ先輩は空を見上げながら少し淋しいにそう呟いた

 
そしてドリンクを口にすると

 

「そんな思いが詰まった特製のドリンクだから、こんなに美味いんだな・・・」


 
「そんな・・・大袈裟です(笑)」


 
「いや・・・そういうもんだって・・・」

 
 
そう言ってユノ先輩はドリンクを飲み干したコップをしばらく見つめていた


 
「特製ドリンクも飲んだことだし、もう少しやるかっ‼」

 

「はい・・・」


 
いつもユノ先輩に戻って特訓を再開する

 
またひとつ距離が縮まった気がした




特訓を始めてだいぶ経ったが、一向に上達しない運動音痴な私を、ユノ先輩は諦めず根気強く教えてくれる


申し訳ないけど、こんな日々がずっと続けばいいな・・・

 
ある日、そんなことを考えていた私は集中力を欠いていたのか、足を捻ってよろけてしまった

 
その瞬間、片手で咄嗟に力強く支えてくれたユノ先輩

 
二人は言葉なく視線が絡み合った

 
今までにない近い距離にある瞳から目が離せない


そして次の瞬間、私の身体はユノ先輩の両手でさらに引き寄せられた

 
時が止まったように息も止まった・・・


耳の奥で自分の鼓動だけが鳴り響いてる


ユノ先輩は両手を少しだけ緩め、私の頬にそっと手を添えると、瞳が更に近付き


そして二人の唇が・・・触れた


一瞬、何が起こっているか理解できず、間近に迫ったユノ先輩の顔をただ見つめていた


そしてゆっくりと離されたその唇から出た言葉は



「ご、ごめん・・・

・・・麻衣となら
 
普通の恋愛が・・・できたのかもな」
 


その言葉の意味は、その時の私には理解できなかったが、ユノ先輩の切ない表情とともに胸にズキっと突き刺さった


どうしてそんな淋しそうな、困った顔で謝るの?

 


憧れの人とのキスなのに・・・




悲しいよ・・・





つづく




(画像お借りしました)