今回は『きみ壁⑨』を先にアップしました
まだ読んでない方は前記事からどうぞお読み下さい
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~彼との壁~⑨
あれからユノは考え込むことが増えたような気がする
それでも私にできることは隣に寄り添うことだけだった
いつものように喫茶店でアルバイトをしていたある日のこと
見かけない女性がお店の入り口の鈴を静かに鳴らした
お店の奥に案内するとその女性は黙ったまま席に着いた
入念にメニューに目を通すと、片手を上げて私を呼び
サンドウィッチとコーヒーを指で差して注文した
その女性はとても綺麗で上品で、珍しい女性ひとりのお客様ということもあって
私はつい目を奪われた
注文の品が出来上がり、その女性のテーブルに届けようと近付く
何故か少し緊張してる私…
するとサンドウィッチを見たその女性は首を振り、今度はメニューのパスタを指差した
オーダーが間違ってたということ?
たしかにサンドウィッチを注文したと思ったけど・・・
それでも、私は
「申し訳ございません
パスタをご注文でしたか?
すぐにお持ちします」
と頭を下げ、マスターにオーダーし直した
「マスター、すみません・・・オーダーミスしてしまいました。
パスタ急ぎでお願いします」
「ナオ、珍しいなぁ」
「•••すみません」
パスタが出来上がり、すぐにその女性に届けた
「お待たせいたしました。大変申し訳ありませんでした」
さっきよりもさらに緊張した私の声は少し震えていた
その女性は私の顔を見上げ、少し微笑んで頷いた
私はホッとしたが久々のオーダーミスに落ち込んでいた
「マスター、私のお給料から引いてください」
「ん?いいよ・・・たまにはこういうこともあるさ 韓国語の授業料だよ」
と微笑んでくれた
「・・・ありがとう、マスター」
その時、あの女性のテーブルからカシャンという音がした
見てみるとコーヒーカップが転がり、コーヒーがこぼれていた
私は新しいおしぼりと布巾を持ち、すぐにそのテーブルに向かった
「火傷してませんか?お洋服は?」
その女性は両手を軽く上げ、大丈夫のジェスチャー
私はテーブルを綺麗に拭き上げ
「今、コーヒーお持ちしますね」
と告げるとその女性は“自分のせいだから”というようなジェスチャーをして首を振った
「うちのマスターのコーヒー、美味しいんですよ
ぜひ味わって頂きたいので」
と言って新しいコーヒーを届けた
するとその女性は笑顔で頭を軽く下げ、受け取ってくれた
やはりお客様の笑顔は嬉しい・・・
その女性は食事を終え、会計するときに私は
「また いらして下さいね」
と言うと、片言の日本語で
「ありがとう」
と笑ってくれた
その女性を見送った後、私は妙な胸騒ぎがした
つづく