起き上がったとき、ただ純粋に感動した。興奮と、もう一つ違う震えが走ったのはすぐにわかった。あんなに綺麗なキスは想像もしたことなかったから。

鋭く体中を突き抜ける変な感覚と、その裏側の芽吹く嫌悪は、誰なのかもわからないその人を中心に回転するし、それでいてその麻薬のような感覚で不要な痛みを塗り込めるのはやめられない。ただ、本当に、本当に、美しい瞬間だった。

まだ僕の手は、この右手は、かきあげたあの人の黒髪の感触を忘れず、タンを拒絶する仕草は瞼に帰る。

この口はまだ濡れていないだろうか?

ただ、鼓動ははっきりと感じるのだけれども。