高校3年生の時、同じ部活の同級生が亡くなった。

身近な友人がこの世を去るという初めての経験だった。

35年前の春。

 

なくなる前日。

部活が終わって夕方5時近くだけど夕焼け空が明るくて

でも空気は少しひんやりしていた。

みんなでワイワイしながら学校の自転車置き場へ移動し

新入部員歓迎会のことや今後の練習の仕方、

夏のコンクールの自由曲の候補などなど

ふざけながらも真剣に話してから

すっかり陽が落ち薄暗くなる中、

口々に「バイバーイ」と同じ方向同士それぞれで帰った。

 

 

あまりに突然すぎて心は全然追いつかないのに

時間だけは過ぎていき最後のお別れもさせてもらった。

 

全校での追悼式が行われ黙祷を捧げ、

最後に校長先生がこう話したのが今でも残っている。

「彼と過ごした時間、そして彼自身をずっと覚えていること、

それが私たちにできる1番のことではないでしょうか」

 

そう私が生きている限り、友人は私の中で生き続け一緒に歳をとっていくんだ。

 


前回の講座で、母の日にちなんで眞佑里さんと裕葉さんが

お母さんのことを話してくださった。

直接お会いしたことがなくともおふたりの

お母さんの思い出が私の心に温かく残っている。

 

「自分を大切に思ってくれる人に会ったことはあっても、

自分が大切にしている人を大切にして想いを馳せてくれる人は初めてだった」

と話す裕葉さんの眞佑里さんと紗佑里さんご夫妻への

尊敬の念いがぬくもりのように私の心に静かに広がり続けている。

 

 

私たちが覚えているから、心の中で生き続けるんだよね。

 

ずっと覚えているよ、フジくん53回目のお誕生日おめでとう。