- ひまわり事件 (文春文庫)/荻原 浩
- ¥790
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荻原さんの本は、どれもはずれがないと思う。
毎回、笑わせてくれるし、毎回ほろりとさせられる。
この本は、そんな期待をはずすことなく、楽しめた一冊だった。
でも、ちょっとだけ違うのは、今回のテーマは結構深いなぁって感じたこと。
といっても、いつも軽いとかではなく、この本は後半が予想できなかった。。
話は、老人ホーム「ひまわり苑」と「ひまわり幼稚園」との交流と、ある騒動のお話。
この二つは、敷地が隣り合っていて、同じ経営者が運営している。
で、話はこの老人ホームに新しく入居した益子誠次と、幼稚園に通う園児・晴也とその幼稚園の先生である荒木先生の三人が語り口となって進行していく。
お話は、ここの経営者が話題集めのために老人ホームと幼稚園の交流をはかっていくため、「苑・園一体化施策」を打ち出すことから始まる。
これにより、老人たちと園児たちとの交流が始まっていくのだけど、ここは荻原さんのお話。
お年寄りと子供たちとのほのぼのストーリー・・・・とかではなく、もういろんな事件が勃発する。
ここは単純に面白くて、楽しめるのだけど、読んでいる最中、いったいなにがタイトルにある「ひまわり事件」なんだろう??と思っていると、その事件の片鱗が見えてくる。
そもそもここの理事長は県議会議員で、さらにその娘がこの幼稚園の園長をしている。
いわゆる典型的な利己主義な議員。
老人ホームの運営も、利益至上主義で運営していて、実はこれが事件の発端となる。
そして、これが大きな事件へと発展していき、そして結末も以外な一面を持っている。
この本を読みおえたとき、これは今の時代には確かに必要な事なのかもしれないって少し思った。
別に、あんな事件を起こせとかではなくて、事なかれ主義でなんでもうやむやにするんじゃなくて、ちゃんとこれはおかしい!とか、口に出す事は必要なんじゃないかって思った。
周囲と上手くつきあうには、自分の意見を主張するより、まわりに合わせた方が、上手くいく事もあるし、間違ってるって思っても、多数がそれでいいと思っているなら、あえて意見をぶつけない方がいい事もある。
誰かが正してくれるだろう・・とか、私が言わなくても何とかなるだろう・・とか、そう考えた方が、トラブルもないし、穏やかに過ごせるだろうから・・・。
でも、全員が誰かがやってくれる・・・って思って、誰もやらなかったら、実はそれはとても恐ろしい事なんじゃないかと思うった。
間違ったものが間違ったままいって、そこで利益だけを得ている人がそのまま問われることなく、得をしていくって事がまかり通ることだってあると思う。
自分に損がないから、誰かが問題提起しても、そんな主張には目もくれず、なに騒いでるの??と、逆にその人に軽蔑の視線を向けるような、ここの老人ホームの住人たちみたいな事がどこにでもあるような気がする。
まあ、今回問題提起した人の理由は、もっと違う複雑なものだったけど、でも考えさせられる本だった。
そんなシリアスな事件の中にも、登場人物たちのちょっとおバカでほのぼのと笑える面があるのが、荻原さんの作品の大好きな所です。
この本のひとこと。
「安全な場所で人を笑うな。高みから他人の火事を見物するな。そこから出て、自分の言葉で自分を語れ。」 by片岡さん

