(前回の続き)


甘かった。

彼の手持ちは、勉強机の脇に爆盛りしたカードだけではなかったのである。


ざっと見たところ、

・遊戯王

・ポケモン

・ワンピース

・ヴァンガード

・バトスピ

・あと何か判らんやつ


何ということでしょう。

過去十数年の財産難の中、涙をのみながら与えていた小遣いは、みーんなトレーディングカード(以下、トレカ)に化けていたのである。


〈呪眼の王ザラキエル〉とか〈壱世壊に軋む爪音〉とか、もう何のことやらサッパリな奴らがケースに満杯である。

おそらく5000〜6000枚は軽く超えているだろう。畳に座っているにもかかわらず、思わず膝から崩れ落ちそうだ。


それにしても、このグッチャグチャの突っ込み放題。もう全部処分してもいいのではないか。そうだ、ブックオフ様におすがりしよう。トレカ専門店でもいい。もしかしたらいい値が付くのがあるかもしんない。


と、晩遅くに帰ってきた息子に言うと、

「あ、無駄無駄。それ全部、雑魚カードだから」

と、言いやがったのである。

ザコとはなんだ、ザコとは!

〈世界樹の巫女 エレイン〉様が泣いておるぞ!!

 ・・・・・・・・・・・・


というわけで、昨晩深夜からパソコン上で、手元のトレカと業者の買い取り表をひたすら照合する作業を進めている。ケシ粒のように細かい文字が老眼にこたえるが、ひたすら耐える。


息子が知らないだけで、もしかしたらレアカードがあるかもしれない。1枚が何千円、いや、何万円何十万円にも化けるかもしんない(喜)!

業者に任せて安く買い叩かれては大変!作戦変更。何としてでも高値カードを見つけて、マニアに売りつけよう。メルカリだ、オークションだ!


捕らぬ狸の何とやらが炸裂して止まらない。


へぇ~、〈シルバーヴァレット・ドラゴン〉だって〜。ラメ入って強そうだし、百万の値がついたらどうしよう。ハァ、ハァ…………。