熊が出ている町で、猟友会と町とが仲違いしてしまったという。
猟友会が、町の提示した手当に不満で、というのが、発端らしい。
たしかに、「高校生のコンビニ・バイト並み」(猟友会談)の日当に、
プラス、熊を見つけて発砲した場合には1300円、というのは、
他の町と比べて、安いようだ。
熊を見つけて発砲する事態となれば、最後まで仕留めなければ人間が殺される。
それが銃弾1発で済むとは限らないわけだが、1発で1000円くらいするそうで、
2発、3発となったときのコストが考慮されていないとのこと。
おまけに、その後の、車で運んだり、いろいろしなければならない処理、
その体力的、金銭的負担は、自分持ち、ということらしい。
その処理の部分の詳細は、私なんかにはわからないけれども、
わからないなりにも、そりゃ、たまらんな、と思う。
町は、増額の話し合いには応じるのに、と主張していたが、
一方で、猟友会の会員が、高齢の(とは言え仕事を持つ)5人だけ、と聞けば、
熊が出るたびに、頻繁に順番が回ってきて呼び出される可能性は、高いし、
たった5人の、日頃からの仲間の中で、自分だけ断るわけにも、いかなかろう、
命がけで出動するのが、お互いにわかっているのだから、と同情する。
猟友会というのは、元々は、趣味でハンティングをやっている人たちだと思う。
北海道という土地柄、以前は、多かったのだろうが、若い人には少ないらしい。
そういう人たちが例外なく乗るタイプの車、そういえば最近、めっきり、見ない。
私も、北海道民になった後、地元の人が自分で仕留めたカモだとかの獲物を、
自慢げに処理するところまで見せられて、ごちそうになったことがある。
作ってくれた鍋の味より、食べる前の、処理する姿が、目に焼き付いている。
カモみたいな「小物」でも、ワイルドだったわぁ。
そうやって趣味でやるうちは、楽しみでやれる範囲でやればいいけれど、
高齢になって、普段の仕事をこなすだけでも、疲れる年齢になってから、
「町民のため」なんて言われて、義務のように扱われてしまうのは、
金銭以上に、配慮の足りなさに、ああもうやめた、となっても、不思議はない。
しかし熊は出る。
シロウトには、とてもじゃないが、手も足も出ない世界。
困ったものだ。