【以下はFBに書いたものを加筆して転記しています。】


 NHKで、IT教材を取り上げていました。タブレット等を使いながら、学んでいる小中学生を見て時代の変遷に思いを馳せました。24年前の受験生として、「IT教材がとても有効な分野」と「絶対に止めた方がいい分野」を挙げてみたいと思います。


 例えば、数学の図形関係、理科の生き物関係、英語のリスニング、こういうものではどんどん活用すれば良いと思います。簡単に言うと、主たる理解に耳や目が要求される分野です。


 私は理科について、結局ビジュアル的に最後まで理解できなかったことが2つありました。生物の胚の分化、気象の空気の流れと天気のメカニズム、の2つです。どちらも一応教科書に図は書いてあったのですが、途中から私が頭で描いた姿と教科書の記述が噛み合わなくなってしまい、最後までストンと落ちませんでした。ああいうのは、モノの動き、大きさ等が視覚的に分かるIT教材があれば解決できるでしょう。


 逆に絶対に止めた方がいいのは、ある程度暗記が要求される分野です。電子辞書では、英単語は身に付きません。私は今、電子辞書を使いますが、そこで調べた単語が頭に残ることは極めて稀です。逆に、私が一番最後に単語帳的なものを作ったのは、20年弱前にフランス語を勉強した時ですが、今でもその単語は覚えています。自分の経験からは、ベタですけど自分で辞書を引いて手で単語を書くことをお勧めします。総論として言えば、電子辞書を使っていいのは大学に入ってから、社会人になってからだと思います。


 あと、英文を読む時に、例えばGoogleの翻訳機能を使うことは学業との関係では止めた方がいいです。翻訳自体はとても荒いものが出て来ますが、それで大体の大意を掴んでしまうと、真剣に読もうという気が失せるはずです。先日、ある高校英語教師と話をした際、「昔に比べて、長文を読む学生の根気が下がっていると思う。」と言っていました。その「昔」がいつなのかというのはありますが(笑)、IT化による影響も一役買っているのではないかと思いました。


 あと計算ですね。これもある程度は手を動かさないと上達しません。小さい頃から計算機的なものに慣れ親しみ過ぎてはいけません。いずれにせよ、問題が複雑になってくるとタブレットでは対応できなくなってきます(対応できるかもしれませんが、それは「答えを見る」という行為と変わらないでしょう。わざわざそんなことをタブレットでやる必要はありません)。


 あと、私がお勧めしたいのはそろばん。私は全く出来ないのですけども、ああいう技術を身につけることはとても大事だと思います。それはIT教材で絶対に対応出来ないわけではありませんが、出来れば実際のモノでやる方がいいです。


 ともかく、長い文章を読む、たくさんの単語を覚える、多くの計算をやる、といった部分をスルーする手法としてIT教材を使うと、学業としては後で泣きを見ると思います。手作業でやらないといけないところは、常に手作業なのです。つまり、今日のエントリーを一言で纏めると、日本の寺子屋時代からやっている「読み、書き、そろばん」はとても大切だから手と頭を使ってやろう、ということなんです。


 こういうことを言うと、「頭の古いおっさん」扱いされるかもしれませんね(笑)。24年前の受験生の戯れ言として聞いてください。