今日はとても暖かい日だ。
この時期になると、家族で毎年伊豆の河津に早咲きの桜を見に行くのが恒例だった。
川沿いに数キロ、上を向けば桜が満開。下を見れば菜の花の黄色で埋めつくされている。
ニュースで開花の知らせがあったのは昨日の事だった。
なんだか遠い昔の事に思える。
家族がいないとこんなにも時間が余ってしまうんだ。
一緒にいるとバタバタと忙しい。
出かけるにしても子供の準備や妻の支度。いつも出掛けようとしていた時間の30分から1時間は遅れた。
だからといって文句を言った覚えはないんだけどね。
妻は自分に気を使っているようだった。
妻は整理整頓、掃除が苦手な人だった。
車は普段、妻が使っていた。子供の習い事の送り迎え、買い物、ナドナド。
週末に自分が車に乗ると、妻の噛んだガムの包み紙がドアハンドルに溜まっていたり、子供のお菓子の食べカスや飲み物のパックがやたらと落ちている。それを掃除するのが自分の毎週末の仕事だった。
車からゴキブリが出てきた時には驚いた。
自分は、毎週、不満タラタラに掃除していた。
妻が家を出ていってからキッチンをよく使うようになり、先日、口を出した事のない妻の聖域を整頓、掃除をした。
賞味期限切れ1年は当たり前、最長は5年前に切れていたものもあった。
2年前に家を建てて引っ越したのにもかかわらず。
これには妻らしいなぁと笑ってしまった。
毎朝、会社に行く前に風呂を掃除するのは自分の仕事だった。ウィークデーはバスタブのみの掃除だけで週末の土日は風呂全体の掃除をしていた。
これは妻に不満があったようだ。
毎日、全体を洗って欲しかったのが妻の希望で時々口にしていたが自分は無視をしていた。
今思えば無視していた事に不満だったのだろう。
人が聞いたら「そんな事、ちゃんと話せばいいじゃん」となるような事。
うちの夫婦はお互い言えなかった。
自分が、お互い言い合える環境を作る事が出来ていなかったのだろう。と今は思う。
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