今日は祖母の話を

書いてみようと思う


大正生まれの祖母は
93歳で亡くなった

祖母は93年の間に
二人の夫を見送った

最初の夫(私の実祖父)は
戦死だった

私が子供の頃 祖母はよく
亡くなった祖父の話をしていた

懐かしそうに
優しい人だったと…

聞かされる私はといえば
なんとも複雑な心境だった

私にとっての祖父は
可愛がってくれた2番目の義祖父

血の繋がりがなくても
愛着があるのは 義祖父の方だった

祖母は最初の夫(実祖父)とは
数年しか一緒に暮らしていない

祖母と3人の子供を残して
若くして戦死してしまったから

その後祖母は祖父の親戚と再婚した
昔はそういうことが多かったそうだ

祖母は2番目の夫(義祖父)とは
50年一緒に暮らし
子供も2人もうけている

その後義祖父は80代で亡くなったが
祖母はやれやれといった感じだった

もちろん悲しんではいたが
絶望してはいなかった

高齢で亡くなったことも
一因だろうとは思う

しかし それよりも
周囲にあてがわれた
相手を亡くしても

“来る者は拒まず 去る者は追わず”
的な感じに見えた

祖母は93歳で亡くなる直前
やっと◯◯さんのところに行ける
と安堵した声で呟いた

それは
僅か数年しか一緒にいなかった
最初の夫(実祖父)の名前だった