戸惑っていた

苛立ち紛れに呼び出しておきながら
こうやって俺の元へとやってきた彼女に…



けれど
無言で車を走らせながら
苛立ちは何故か安堵感へと変わっていた




恋人でもなく友人でもない…
もちろん…家族でもない
なのに…
彼女はやってきた
大切な人達を家に置いて…
俺が来いと…そう…言ったから…




無意識に車を
自宅マンションへと走らせていた




部屋へと彼女を通す




冷えた部屋を暖めるために
エアコンのスイッチを入れる
エアコンから吹き出し始めた空気に
彼女がくしゃみをした



そのくしゃみが
幼子のようで
思わず抱き締めた…











「なんで?」

「え?」

「なんで…来んだよ」

「…」

「息子…放ったらかしていいのかよ?」

「…」

「母親…失格だな」




彼女が俺の背中を強く抱いた
俺は彼女の髪へとキスをした




「ええ…
ほんと…
でも…
会いたかった…の」



「最低な…母親…だ」



その言葉に
俺を見上げた彼女の瞳は
潤んで俺を映していた




「母親失格だよ」



もう一度そう言うと
何か言いかけた彼女の唇を塞いだ