暗くなる画面を見つめていた




“他をあたる…”



今夜…
彼の腕に抱かれる女が…いる









その現実は私に
吐き気をもたらすほどの嫉妬を与えた













その嫉妬心がダイヤルを押させる…




「…行くわ
どこに…行けばいいの?」















電話を切りリビングに戻る
ソファに座る夫の背中に声をかける


「ねぇ?
パパ?
由美子ね
風邪ひいたみたいなの」

「そう?」

「それで…
私に来て欲しいって…」

「はぁ?
この時間に?」

「そう
そうなのよ…」

「彼女…まだひとりだったけ?」

「そう…
私に来て欲しいって
よっぽっど辛いんだと思うの
だから…」

「ああ…
そうだな
一人だと…不安なんだろ
俺も経験あるよ
ひとり暮らしで
インフルエンザになった時
このまま誰にも知られず
死んじまうのかなって…」

「ふふふ
そんな事…あったの?」

「ああ
だから…行ってやれよ」

「…いい?
ありがとう」

「でも
明日の朝までには帰って来てくれよ
りくの朝ご飯は…
俺じゃ無理だからな」

「大丈夫
様子見て
出来るだけ早く帰ってくるから…」







よくもこんな嘘がつけるものだ…


自分に呆れながら
軽くメイクを施す

けれど…

私が行くのは…
女友達の家
それもこんな時間…

嘘を真実にするために
アイラインをひこうとした手を止めた







「パパ
じゃぁ
行ってくるね」

「ああ
気をつけてな…」


「ええ」


「おい」



リビングのドアに手をかけた私に
夫が声をかける

ドキリとし
ドアノブにかけた掌に
じわりと汗が滲んだ






「ちゃんとマスクしとけよ」





「そうね
うつされないようにしないと…」




カウンターキッチンの隅に置かれたマスクの箱から一つ取り出した










玄関のドアを開けると
外の冷たい空気が頬を刺し
嘘つきの私を責めているようだった