彼との約束の日


若い男の部屋へ行くという後ろめたさを

悟られまいと

いつもの日常をこなす



年頃の娘というのは

気づかなくていいことに

何故か…気づいてしまう






「ねぇ?
ママ?
冷蔵庫に色々あるけど
あれ…どうするの?」



お弁当用に

昨夜下ごしらえをした食材を

見つけられてしまう




「今日って何かの記念日だっけ?
パパ?
知ってる?
ママがご馳走の準備してる」

「ん?
記念日?
いや…
なんだっけ?」

「もう
そんなのじゃないのよ
今日はね…
ママ友の集まりがあるの
皆で…色々持ち寄ってランチ
その準備よ」

「なーんだ
じゃ
これ食べられないの?」

「どれ?
食べたい物があるなら
少し残しておくから…」

「やった
じゃ…これ」





朝食を終えた夫が

皿を手にキッチンへとやってくる



「結構作るんだなぁ
あんまり頑張り過ぎんなよ」

「え?
ええ
そうね
ちょっと作り過ぎたかしら…
でも
少しづつだからそんなに無いのよ」

「いいなぁ
ランチしながらおしゃべりか
羨ましいもんだな
主婦って」

「まぁ…ね
でも
お付き合いって大切だもの」

「そうだな

頑張って」






それっきり興味を無くした夫は

洗面所へと消えた






冷蔵庫の食材を見つめながら

こんなに簡単に

嘘がつける自分に驚いていた