旨い旨いと

頬張る様子は

なんだか子供のようで

私の中にあった警戒心は薄れていった






新婚の頃は…

夫もこんな風に食べてくれてたな…

お弁当も

毎日楽しみにしてくれて

空になったお弁当箱を洗うのが幸せだった

それが…

いつ頃からだったかな

外回りで食べられなかった…と

一口もつけずに持ち帰る事が増え

「もう要らない」

と言われたのだ



寂しさを覚えながらも

幼い子供達の世話に追われていた事もあり

私自身ホッとした事を…思い出す








「ん?
食べないの?」

「え?
あ…
そうね…
まだ…お腹空いてなくて」

「マジ?
あ…ごめん
俺…勝手に…」

「ううん
いいの
ね?
良かったら…これもどうぞ
まだ
お箸つけてないから」

「え?
いいの?」

「ふふふ
もちろん
でも…食べられるの?」

「ああ」

「お茶…淹れようか?
キッチン…貸してね」

「うん?
ああ…でも…」










生活感の無いキッチン

男の子…だもね

えっと…お茶っ葉…

あ…

そんな物…ある訳無いか



食器棚の中には少ないながらも

ブランド食器が並ぶ


そして

気がつく…

お揃いのお茶碗やマグカップ…




それは…そうよね

いない訳ないわ

チクリと痛んだ胸の痛みに

気づかないふりをして

彼に声をかける



「お茶…
どうしよう?」

「あ
いいよ
お茶っ葉なんてねーもんな
冷蔵庫に水あるから
それ取ってくれる?」

「わかった」







彼によく冷えたミネラルウォーターを

手渡しながら

また…胸がチクリと痛んだ