「ほら…
進み始めた…」
彼のその言葉に
助手席に座りシートベルトを締め直す
私の手を彼が握ってくれる
離したく…ない
どうしてだろう…
今日は彼への想いが
切なく私の胸を締め付ける
バッグの中のスマホが振動する
「ごめんね」
そう言い彼の手を離し
取り出したスマホには
夫からの着信を知らせる文字
時刻は
19:00をまわっていた
「誰?
出なよ」
「え?
あ…うん」
何かしら?
自宅に居ない私を
心配しているのだろうか?
それとも
帰宅出来ず会社に泊まる…
そんな連絡だろうか?
でも
社にいるなら…メールで連絡するだろう…
胸に広がる不安感を消す術が見つからず
ただ
スマホを握り締めた
「出ないの?」
「ん?
うん…」
着信はしばらくすると途切れた
バッグに戻そうとした手のひらの中
スマホが振動する
「出た方がいいんじゃない?」
「…」
ちらりと画面を見た彼の顔が強張った

「出た方が…いい」
「…」
きっと…そう
心配しているのか
それとも
子供達を放ったらかしにして
何処にいるのだと叱責するのか
それとも
全く違う用件なのかもしれない
電話に出て
渋滞に巻き込まれていると
そのままを伝えればいい
誰と一緒だと聞かれたなら
友人だと答えればいい
わかっているのに
そうすればいいと
わかっているのに…
「大丈夫か?
俺なら気にすんな
でなよ
なんかあったのかもしんないだろ?」
彼のそんな優しさが
余計に私を苦しめた
嫌なのだ
彼の前で…
妻の顔を晒すのが
嫌なのだ
彼の前で…母の顔に…なるのが
夫と話す…本当の自分を知られるのが…
いや…それは違う
彼といる時こそが
本当の自分…
彼の前だけでは
ただの…女でいられる
そして
彼といる時の自分が私は好きなのだ
夫に状況を説明する私を
彼はどう思うのだろう…
私は上手く嘘をつけるだろうか?
そして
彼は嘘が上手い女だと感心するだろうか?
それとも
上手く話せずしどろもどろになる私を
心配するだろうか?
私は夫に本当はこう告げたいのだ
好きな男といるのだと…
このまま家には帰らない
私は…彼と…生きていきたいのだと…
そんな言葉を告げる私を
彼は……どう思うだろう…
せわしなく振動するスマホを握り締める私
彼は…その振動音を聞きながら
ハンドルをきつく握り締めていた
止まない夏の雨は
フロントガラスの視界を遮り
道を誤らせようとしているかのようだった
END
いつもお付き合いくださり
ありがとうございます
多分
私なら
電話に出て
流暢に嘘をつける
だって
そうしなければ
家庭も彼も失うから…
だけど
ふと思う
一か八かの賭けに出て
彼と生きる道を選んでみたいなと…
何もかも捨てて
酷い妻
最低な母親
そう言われても
彼を選びたい
なんて…ね
平凡な主婦の見る夢…
読んでくださった皆さんは…
どうしますか?
お相手がたいぴなら
こんな質問は愚問かな?笑笑
でわ…
進み始めた…」
彼のその言葉に
助手席に座りシートベルトを締め直す
私の手を彼が握ってくれる
離したく…ない
どうしてだろう…
今日は彼への想いが
切なく私の胸を締め付ける
バッグの中のスマホが振動する
「ごめんね」
そう言い彼の手を離し
取り出したスマホには
夫からの着信を知らせる文字
時刻は
19:00をまわっていた
「誰?
出なよ」
「え?
あ…うん」
何かしら?
自宅に居ない私を
心配しているのだろうか?
それとも
帰宅出来ず会社に泊まる…
そんな連絡だろうか?
でも
社にいるなら…メールで連絡するだろう…
胸に広がる不安感を消す術が見つからず
ただ
スマホを握り締めた
「出ないの?」
「ん?
うん…」
着信はしばらくすると途切れた
バッグに戻そうとした手のひらの中
スマホが振動する
「出た方がいいんじゃない?」
「…」
ちらりと画面を見た彼の顔が強張った

「出た方が…いい」
「…」
きっと…そう
心配しているのか
それとも
子供達を放ったらかしにして
何処にいるのだと叱責するのか
それとも
全く違う用件なのかもしれない
電話に出て
渋滞に巻き込まれていると
そのままを伝えればいい
誰と一緒だと聞かれたなら
友人だと答えればいい
わかっているのに
そうすればいいと
わかっているのに…
「大丈夫か?
俺なら気にすんな
でなよ
なんかあったのかもしんないだろ?」
彼のそんな優しさが
余計に私を苦しめた
嫌なのだ
彼の前で…
妻の顔を晒すのが
嫌なのだ
彼の前で…母の顔に…なるのが
夫と話す…本当の自分を知られるのが…
いや…それは違う
彼といる時こそが
本当の自分…
彼の前だけでは
ただの…女でいられる
そして
彼といる時の自分が私は好きなのだ
夫に状況を説明する私を
彼はどう思うのだろう…
私は上手く嘘をつけるだろうか?
そして
彼は嘘が上手い女だと感心するだろうか?
それとも
上手く話せずしどろもどろになる私を
心配するだろうか?
私は夫に本当はこう告げたいのだ
好きな男といるのだと…
このまま家には帰らない
私は…彼と…生きていきたいのだと…
そんな言葉を告げる私を
彼は……どう思うだろう…
せわしなく振動するスマホを握り締める私
彼は…その振動音を聞きながら
ハンドルをきつく握り締めていた
止まない夏の雨は
フロントガラスの視界を遮り
道を誤らせようとしているかのようだった
END
いつもお付き合いくださり
ありがとうございます
多分
私なら
電話に出て
流暢に嘘をつける
だって
そうしなければ
家庭も彼も失うから…
だけど
ふと思う
一か八かの賭けに出て
彼と生きる道を選んでみたいなと…
何もかも捨てて
酷い妻
最低な母親
そう言われても
彼を選びたい
なんて…ね
平凡な主婦の見る夢…
読んでくださった皆さんは…
どうしますか?
お相手がたいぴなら
こんな質問は愚問かな?笑笑
でわ…