“帰したくねーな…”
セフレに向かって言うその言葉が
意味するのは
まだヤリ足りない…
そんな事くらい…わかってる
求められる事は私の自尊心を満たす
けれど
彼の欲望を受け止めた後
ほんの少し虚しくなるのは
彼の…心を欲し始めたからだ
退屈な日常の中で
彼と過ごす時間が
私を生かしてくれている
もしも…
結婚していなければ…
もしも…
子供がいなければ…
そんな“もしも…”をいつからか思い
日常を変えることが出来無い事に落胆し
過去の自分の選択を
無かった事には出来無い事を
今更ながらに思い知る
いつまで彼は私を求めてくれるだろう…
いつまで私は嘘をつき続けられるだろう…
いつか…
私は彼との事を後悔するだろうか…
アイコスを口にする彼の
滑らかな背中を見つめながら
彼の30歳の誕生日に逢えた事に感謝し
そして
いつか…別れる日が来ても
今のこの彼の背中を
忘れたくはないと強く願った
ん?

彼が振り返る
「もう…行くね」
「ん…ああ…
ありがとな
来てくれて」
「ううん
私こそ…
逢えて…嬉しかった」
「…」
「…」
「…」
「素敵な30代になる事を…祈ってる」
「ああ」
彼の頬に軽くくちづけた
ふふふ
笑う彼が優しくキスをくれる
「じゃぁね」
「ああ…
また…連絡する」
ドアを閉め
自宅に向かいながら
私はやっぱり幸せなんだと
そう感じていた
昨夜の逢瀬も
今朝の交わりも
もう過去でしかない…
歳下の男との情事を楽しめた過去は
もう私にはない
この先の未来にあるのは
叶わない想いに胸を焦がしながら
その痛みを糧に生きて行く…幸せな…
女の人生…
もしも
手にしているもの全てを失っても
私は彼と出会えた事をきっと後悔はしない
今も視界を曇らせるこの胸の痛み…
それは堪えていた嗚咽を溢れ差した
ビルの谷間の影へと身を潜め
その嗚咽が治まるのを待った
苦しくて
切なくて
けれど
…………幸せなのだ
こんなにも
私は…今……生きている…
君に出逢えた過去のあの日に感謝し
君を思い続ける未来を生きて行く…

END
セフレに向かって言うその言葉が
意味するのは
まだヤリ足りない…
そんな事くらい…わかってる
求められる事は私の自尊心を満たす
けれど
彼の欲望を受け止めた後
ほんの少し虚しくなるのは
彼の…心を欲し始めたからだ
退屈な日常の中で
彼と過ごす時間が
私を生かしてくれている
もしも…
結婚していなければ…
もしも…
子供がいなければ…
そんな“もしも…”をいつからか思い
日常を変えることが出来無い事に落胆し
過去の自分の選択を
無かった事には出来無い事を
今更ながらに思い知る
いつまで彼は私を求めてくれるだろう…
いつまで私は嘘をつき続けられるだろう…
いつか…
私は彼との事を後悔するだろうか…
アイコスを口にする彼の
滑らかな背中を見つめながら
彼の30歳の誕生日に逢えた事に感謝し
そして
いつか…別れる日が来ても
今のこの彼の背中を
忘れたくはないと強く願った
ん?

彼が振り返る
「もう…行くね」
「ん…ああ…
ありがとな
来てくれて」
「ううん
私こそ…
逢えて…嬉しかった」
「…」
「…」
「…」
「素敵な30代になる事を…祈ってる」
「ああ」
彼の頬に軽くくちづけた
ふふふ
笑う彼が優しくキスをくれる
「じゃぁね」
「ああ…
また…連絡する」
ドアを閉め
自宅に向かいながら
私はやっぱり幸せなんだと
そう感じていた
昨夜の逢瀬も
今朝の交わりも
もう過去でしかない…
歳下の男との情事を楽しめた過去は
もう私にはない
この先の未来にあるのは
叶わない想いに胸を焦がしながら
その痛みを糧に生きて行く…幸せな…
女の人生…
もしも
手にしているもの全てを失っても
私は彼と出会えた事をきっと後悔はしない
今も視界を曇らせるこの胸の痛み…
それは堪えていた嗚咽を溢れ差した
ビルの谷間の影へと身を潜め
その嗚咽が治まるのを待った
苦しくて
切なくて
けれど
…………幸せなのだ
こんなにも
私は…今……生きている…
君に出逢えた過去のあの日に感謝し
君を思い続ける未来を生きて行く…

END