出張の無くなった夫は子供達を

習い事へと連れ出してくれた

一人になった家で

作っておいた料理を取り分ける



彼のために作った料理を温め直し

子供たちに食べさせるであろう夫

それを思うと…ほんの少しだけ胸が痛んだ





けれど

洋服を着替え香水を見に纏うと

そんな罪悪感は消えてしまうのだった




彼は仕事

21時には帰れると聞いていた

時間はたっぷりあるが

嘘の同窓会のために

昼過ぎには出掛けなければならない



時間を潰すといっても

料理の入ったタッパーを持って

出掛けるあてはなかった




彼がくれた合鍵



早いけれど

彼の部屋へと向かう







そこは彼の日常に彩られた空間

いつからか…

私にとっては安息の空間となっていた




LINEが鳴る


“ごめんな
もうすぐ終わるから”

“大丈夫
でも
日付が変わる前に帰ってきてくれると
嬉しいけど”

“わかった
それまでには
帰れると思う”









食器棚から

数枚の皿を取り出し

タッパーの中の料理を盛り付けラップをし

テーブルへと並べる








LINEが鳴る



“ごめん
先輩から呼び出された
2時間は帰れそうにない
ごめん”





“大丈夫”



“先に寝てなよ
クローゼットから
適当に服選んでくれていいから”




“わかった”








何をするでもなく

ただソファに座っていた



壁にかけられた時計が

もうすぐ日付が変わる事を示していた











冷蔵庫にしまっていたケーキを取り出し

ロウソクをさし火を付けた






小さな声でHappy Birthdayを歌い

火を吹き消した





馬鹿げているかもしれないけれど

日付が変わる瞬間に

一番に祝いたかったのだ




本当は

彼と

こうしたかった






「あははは」




笑い声に驚き振り返ると彼が立っていた




?!



「俺がいないのに
歌ってくれてたんだ」







聞かれてしまった事が恥ずかしくて

彼の顔が見れなかった



「ありがとな」

「…うん
おかえり…
あっ
おめでとう
お誕生日…おめでとう」

「うん
ありがとう」

「早く…帰れたんだ」

「ん?
ああ
あの後
先輩
すぐ別の人から呼び出されてさ
俺ら放って行っちゃったんだよね
ははは」

「そっか」

「ふふふ」

「何?」

「りんって…歌…くくく
上手いんな
ははは」

「もう…言わないで
わかってるから」

「なぁ?
もう一回歌ってよ」

「え?
いやよ
絶対嫌」

「俺も歌うから…
ほら
せーの」




Happy Birthday……


…Dear…タイスケ…

Happy Birthday to you…





おめで…



言い終わらないうちに

彼のキスが唇を塞いだ



























※本当は…
彼のお誕生日に合わせて
アップしたかった…(^^;