眠れぬまま朝を迎える


彼の体温と
彼の香り



そして
私を真っ直ぐに見つめる彼の瞳…














逢いたい…













ふっと
心に湧いたその感情に動揺する




逢いたいって…
逢って…どうするの?




ましてや
彼は
“ヤりたい”って…
いくら鈍感な私でも
それが何を意味するかぐらいは
わかっているつもりだ




“りんちゃん
俺と付き合わね?”

“りんさん
今度映画でも行かない?”

“北原さんって好きな人いるの?
どんな人が…好きなの?”

“りんさん…
俺と付き合ってください”………


これまで
何度となく真摯な瞳で
私に付き合いを申し込んできた男達

夫も短大を卒業した私に
膝まずきこう言った


「りん…
改て…申し込むよ
僕と結婚してください…」


予め決められた結婚だったけれど
夫の誠意を感じ
嬉しくて
頬が熱を持つのを感じながら
その申し出を受け入れた…


そういうものでしょ…


男は
好きな女に
礼儀を尽くすものよ



あの男は…
礼儀どころか
どこまでも
わたしを…馬鹿にして…




私…
結婚してるのよ
夫が…いるのよ




友人達とは違う…

他の人に身を任すほど
飢えてなどいない
この生活を壊すようなこと…
そんな事…絶対に…しない












なのに
どうして…




どんな愛の言葉よりも
彼の言った
“ヤりたい…”
その一言が
耳から離れない







所詮
どんな綺麗事を言った所で
男と女の行き着く先は
そこしかないのだ

恋だ
愛だと言った所で
身体がもとめるその欲望は
動物と変わらない


だとするなら
彼の言葉は
これ以上ないほど
自分の想いを忠実に言ったまでだ
そして
これほど
強く求められた事など
私は…ない




そんな思いにいたり
驚く…











私…
どうかしてる…










車がなおるまで
後少し…
その後は
もう…関わることなど無いのだから
彼の戯言など
忘れてしまおう…









さぁ
掃除して
久しぶりに
ジムに行って泳いでこよう













そう決意し
ベッドから起き上がる