彼女の肩からコートを脱がすと

ハンガーにかけるため寝室へと向かう


「…おいで」


彼女に声をかける




「こっちの窓からの方が
夜景…綺麗なんだ」




彼女が窓へと歩み寄る



「ほんと…
毎日こんな夜景見てたら
人生観…変わっちゃうかも…」


「ふふふ
そんな事…ねーけど」



その背中を抱き締める



甘い香りのする髪に鼻を埋める



いい匂い…



抱き締める腕に力を込め

彼女を振り向かせ

くちづける…



背中に彼女の手が回されるのを感じ

絡める舌に想いを込める…





彼女の舌が動きを止める


ん?


見下ろすと真っ直ぐに俺を見つめる瞳…


「いつも
こんな風に誘うの?」

「え?」

「ふふふ
“夜景…綺麗だよ”なんて…」

「ちげーよ」




いや…

何度か…ある

図星だから

頬が熱を持つのを感じて焦る




「ふふ
正直なのね…」

「…」

「…」

「何度か…ある」

「ふふふ
そこは…無いって嘘ついてよ」

「え?」

「そうよね
こんなに素敵なんだもの
彼女の一人やふたり…
いるよね」

「今…それ言う?」

「ごめんなさい
………だって
藤ヶ谷くんのキス……」

「え?
俺の?」

「上手で…」

「…」

「独り占めしたくて
嫉妬…しちゃった
藤ヶ谷くんとキスする………
女の子達に…」





嫉妬…?

見えない相手に?

嫉妬なら…俺だって

あの写真立ての男…

まだ…忘れられないんだろ?



あんたのキスだって…

その舌のうごき…

それは…その男が教えたのか?











「なぁ?
俺だけ
今は
俺の事だけ…感じてよ
余計な事…
何も…考えんなよ…」