別れはいつも突然やってくる

そう…思っていたけれど
それは違うのかもしれない


本当はいつも気付いていた
何気なく現れる別れの予感…
それは
彼だけではなく
私の中にも芽生える違和感


昨日までは大好きだったタバコの香りが
急に鼻につき
美味しそうに食べるが様子がガサツに思え
瞳にかかる長めの前髪が
ただ鬱陶しく思えてしまう…

そういった事が心の中に
何層にも積み重なり
次第に鬱屈して行く…

未来を語れる相手ならば
それは
程よいなれ合いとなる場合も
あるのかもしれない

私と彼は
未来はおろか現在すら語れない
その不満が
その不安が
愛しさを憎しみと
勘違いさせてしまう…


愛してるからではない
もう
私の中では彼は終わっている
そう思いながら
けれど
彼を拒めずにいる










だって
これが最後の恋…



だから
私は自分の気持ちに気付かないふりをする
全ては気のせいと…
たまたま
体調が悪いのよ…
ちょっと余裕が無いわ…
今日だけの事よ…
何度そう言い聞かせてきたろう






「ごめんなさい…」


彼を受け入れながら
そうつぶやく…


「ん?
…ッ…ど…した?」


快楽の間ざまにいる彼は
嘘の吐息に気づかない…


彼の背中に手を回す
その背中はしっとりと濡れ私の手を濡らす
愛しかったその湿り気が
いつもの癖で
私の中に彼への劣情を起こす

彼のうなじから
後頭部へと指を滑らせ
愛しかったその髪に絡ませる


彼の香水の香りが鼻をくすぐると
身体は条件反射で
快楽を求め開き始める…




はぁぁ…ぁッ…



首を仰け反らすと
彼がそこへとくちづける…





心では彼を拒絶しながら
身体は彼を求めている…

相反する私の心と身体…






「素直んなれよ…」





彼がそう囁いた…


それはいつもの戯言
わかっているのに
余りにも
タイミング良く彼が言うものだから
私の目尻に滲んだ涙が頬を伝う




「ふっ…
泣くほど…いいか…?」




バカな…男…




なのに
私の身体は彼を求め続ける







これが…最後…
もう…終わり…





そう思うことが
私の中に切ない感情を昂ぶらせ
私は彼の腕にしがみつきながら
昇りつめていく…





「別れねーから…」

「え?」

「気づいてないと思ってんの?」

「…」

「…やっぱり」

「…」

「あんた
わかりすぎ
ははは」










視線が交差する






愛しさはそう簡単には消えない

出会った頃の熱情は無くても
私は…
まだ
彼を手放したくない
決して私の物になどならなくて
私も彼の物になどなれないのだけれど…
愛しさと憎しみの波に
何度も翻弄され
そのたびに息が出来無い程
もがき苦しむとしても…





これが…
最後の恋…





彼の頬に手を沿わす





好きよ…






それは嘘ではない
好き…
だから
怖い…

若く美しい彼を失うであろう
そんな遠くない未来がいつか来ることに
私は怯えている…

いつか
彼の瞳に失望の色が芽生え
私への欲望の色が消えてしまう事に
怯えている

そんな日が来る…その前に
彼にさよならを言いたいのだ
愚かな私のプライドを守るため…




だから
終わりたい
だから
必死で
終わらせる理由を探している

嫌いなのよ
その香りも
その眼差しも
その微笑みも…と


別れの言葉を正当化する理由を…
捜している
自分の…ために






彼が私をまた
シーツへと沈める




「今日はまだいいだろ?」




私の返事を待たずに
くちづけが深くなる




心は簡単に嘘をつく

その点
身体は正直だ



心も思考も手放して
今はただ
彼に身体を預けたい…




「お願い…
もっと…
激しくして…」

「ああ…」





全部
嘘よ

別れの予感なんて
全部…ウソ…
子供のように駄々をこねているだけ…

だって
ほら
彼の唇はやっぱり
気持ちいいもの…

彼の髪に交じる汗の香りも
ほら
やっぱり
愛しい…


まだ
終わらない
まだ
終われない…







コレガ…サイゴ…
サイゴノ…コイ…








たとえ
ただの執着だとしても
今はまだ
彼に抱かれていたい




彼の身体の熱が
私の身体を熱くしなくなる
その日まで…





別れの予感を探して
そして
別れない理由を探してる


そんな愚かな自分に
決別する日は…来るのだろうか…









END







別れたいのか
別れたくないのか
わからない


たいぴが好きなのか
たいぴが嫌いなのか
わからない…





午前中休みだったから
久しぶりに歌うたいぴを観てたら
なんだか切なくなった





別れる妄想が
別れられなくなった…_| ̄|○