「藤ヶ谷くん
今日はありがとう
バイトの時間でしょ?
気にしないで行って…」

「あ…でも…」


部屋の隅で三角座りをするるいの背中…



「るいの事?
きにしないで…
いつもの事だから」

「はぁ…」


なんだかその背中が
「寂しい」
って言ってる気がして…


「なぁ?
るい?
お前
土曜はなんかあんのか?」


「藤ヶ谷くん?」

「るい?
聞こえてんのか?」



恐る恐るこっちを向くるい



「…うん」

「なぁ?
プール…行くか?」

「え?」

「藤ヶ谷くん?」

「俺のアパートの近くにあるんですよ
健康プラザってやつ?
ほんと…
ただのプールと
小さなスライダーがあるだけだけど…」

「お兄ちゃん?ほんと?」

「ああ…」

「いく!
ねぇママ?行っていいでしょ?」

「あ…うん…
藤ヶ谷くん?
いいの?」

「ええ
じゃあ…土曜日朝10時
迎えに来るから
ちゃんと用意しとけよ」

「うん
ねぇママは?
ママも行こ!」


るい…!
お前ナイスだ




彼女…行ってくれるかな…



「え?
ママ?
ママは無理よ
水着もって無いし…」

「えー一緒がいい」

「るい…」

「るい!
男同士もいいだろ?
たまにはママにゆっくりしてもらお」




俺だって…残念だよ


でも…きっと仕事が休みでも
体を休める事など出来ないであろう彼女
少しでも…
ゆっくりとしてもらえたら…



「うん」

納得したるいが頷く


るいと指切りをして別れる


ふたりが
階段の上から手を振ってくれる







彼女の笑顔…










嬉しいのに…苦しいって…
なんなんだよ…


胸が…痛い…