いつも裏方で作業してるから
気にも留めていなかった

その人…

帽子にマスク姿だから
年齢だってわからない

だけど
初めて見た
優しく微笑むその口元が
俺の脳裏に焼き付いて離れなかった



学食に行くのが
今まで以上に楽しみになった

良く見れば…
無駄無く立ち働くその姿は
見てるだけで
俺も頑張らなきゃと思わされる

就活…始めるか…

北山から紹介してもらった横尾さんに
連絡を入れ会う約束を取る


スーツ買わなきゃな…


夜のバイトはほぼ生活費に消える
単発のバイト探さなきゃ




小雨が降る中
学生課前の掲示板を見つめる





これ行くか…
明後日の9:00から…
メモを取っていると
雨が…あれ?止んだ?


「傘ないの?」


誰?



あ…





「結構強く降って来たよ」


あの人だ…

自転車にまたがりながら
俺に傘をさしかけ
微笑んでいる

初めて見る帽子とマスクのない姿
サラリとおろした長い髪
化粧っけのない顔


「あ…すいません」

「これ貸したげる」

「え?」

「私はすぐに着替えるし
学食行ったら
学生の忘れ物の傘あるしね…」

「え?でも」

「ほら…雨強くなって来た
じゃあね」


そう言うと
自転車を走らせ行ってしまった





一羽の青い鳥が
描かれた綺麗な傘だった…