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Theatre

観劇の備忘録。独り言。

公演が終わってはやひと月。喪失感は深まるばかり。でも記憶って薄れていくな。忘れないうちに細かな事を書き留めていこう。この後の記事は本当に備忘録です。

でラッジ君の事。
ナショナルシアター(以下NT)版と日本版がかーなり違っておりました。
優秀なボーイズの中ではただ一人の凡人。得意はスポーツ。と、ここまでは一緒なんだが。

<NT版>ラッセル・トヴェイ
ボーイズが「AAA」の成績を取った中でも彼一人は「ABB」。それでも皆からよくやった!と抱きつかれる彼。そういう位置づけなのね。そんな彼が最終的には最難関のクライストチャーチに受かってしまう。原作脚本では底辺公立校出身者に下駄を履かせるイギリスの受験制度を皮肉る存在(と思う)。
始終自信のなさそうな態度。ボーイズ達の遊びにも加わりきれず、いつも真面目一方。父が用務員をしていたという理由でクライストチャーチに受かっても暗い表情。「大学なんてくそくらえ」とふてくされて去って行く姿は寂しさに満ちていて、この後大丈夫なのか心配になる。

<日本版>小柳心
NT版よりは明らかに賢そう。「AAA」はとれなくとも「AAB」って感じ。そして授業態度が素晴らしかった。目が真剣。常に本当に常にノート取ってた。一言も聞き漏らさないぞという気迫に満ちていて、こういう目をした子が馬鹿のはずないと思わせた。
ボーイズ達の遊びに加わりきれないのはNTと同じでも日本版は「馬鹿馬鹿しい遊びだ」と結構上から目線。小柳ラッジは誰よりも地に足がついてて感性が非常に真っ当。教養なくともそれがなんだと開き直ってる感もあった。裏口で合格しても「何が悪い!悪いのは取る方だろう」と決して挫けない。ラッジの強さ、真っ当さって日本で上演するには必要だったと思うのよ。ガリ勉して詰め込むスタイルは言ってみれば日本の受験生。ラッジが堂々としてるのを見るとなんかスカッとした。自分も受けた日本型詰込み教育の何が悪い!と思えた。
小柳ラッジの揺るぎなさは最後の場面にきちんと繋がる。リントット先生が将来のボーイズを紹介していくシーン。ラッジがこの台詞を堂々と言うんだよね「tout comprendre c'est tout pardonner」(全てを理解することは全てを許すこと)
NT版では皮肉っぽく言うんだが、小柳ラッジのこの台詞はちゃんと重みがあった。そこに行くまでの人生がちょっと垣間見える感じで。この台詞って登場人物みんなに関わる内容だから日本版ラッジの言い方がとても感動出来た。

ラッジは結局大学に進学したんだろうか?映画の日本語字幕だと入学辞退するとなってるんだが、(英語自体はそこまで言っていないんだけどね。これってなんで「入学辞退」になったんだ?)日本版脚本ではどちらとも取れる。でも小柳ラッジは進学したんじゃないかな。あの力強さは。
本当に小柳ラッジ良かったよ。ハイトナーとベネットに見せたいくらいだった。