物語に恋するトマト

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小説、漫画、映画、ミュージカルなどとにかく「物語」が大好き。
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金曜ロードショー、ついにやってくれましたよ、ええ。

風立ちぬ!ようやく観ることができました。わーーーうれしー、めでてー。

宮崎駿監督の引退作である本作品。ネットでの評価を観てみると、「何が言いたいかわからない」「意味不明」「タバコをあんなに書く必要ないだろ」「老いたな、駿」などなど、なんとも辛辣な書き込みが相次いでいる。

かくゆう私の感想といたしましては、
「確かに相手を選ぶ作品だけど個人的にはわりと好きかな」
といった感じでございまする。


この物語で一番描かれているのは、「ものづくりの性」なんじゃなかろうか、と私は思う。
そしておそらくこの二郎の生き方は、宮崎駿の生き方そのものなんだろうな。


以下ネタバレを含みます。




二郎は設計に没頭すると周りの声が耳に届かなくなる程の職人気質。婚約者がいると話したとき「君のような愚直な人間が」と周囲に揶揄されることからも、その性は伺える。そんな彼は最後まで設計の仕事をやり切った。やり切らずにはいられなかった、という方が正しいかもしれない。たとえその仕事が多くの命を消そうとも、愛する人を失おうとも、彼は設計者としての職務を全うしたにすぎないのだ。
そしてその罪を背負うところまでが、二郎ないし宮崎駿、ものづくりの性をもつ人間の運命だということを、私はこの映画で感じた。

さらにこの映画をただの「俺のような人間はかわいそうだろう?」で終わらせなかったのが、流石宮崎駿といったところか。それはものづくりの性に抗えない夫をこよなく愛した女である菜穂子の存在が大きい。彼を理解し寄り添った、ある意味平凡で、だからこそ強く美しいヒロインの生き様こそが、観客の共感を生み私たちの胸を締め上げるのだ。

実際の人物をモデルとしているからか、この作品は宮崎らしくない。盛り上がりがない。展開が読める。
たしかにそれはそうだろう。というか、そうよね。ほんと。

しかしこの物語で重きが置かれていたのは「エンタメ性」よりもむしろ「メッセージ性」だろう。
だからこそジブリのあの迫力、エンターテイメントを望む人にはいささか期待外れな映画になってしまったのかもなぁ。

いやはや、私は「風立ちぬはつまらんらしい」という認識をもって鑑賞したからか、思いの外咀嚼して楽しむことができたのだ。

ふむふむ、これはこれで運いい。