先日、
ピアニストのフジ子・ヘミングさんが
他界されましたが・・・
私は一度だけ、
フジ子・ヘミングさんのリサイタルを
聴きにいけたことがあり
それから
フジ子さんの著書が好きなので、
何冊か家の本棚にもあって
同じ本を何度も何度も
読んだりしているのですが・・・
言葉１つ１つが
たとえ紙に印刷された
インクの文字であっても
すごく心に入ってくるものばかりで
そして
数日前に読んでいたもので
ある場面を思い出したことがありました。
それは
こんな文章で・・・
「地球の引力は、目には見えない。
愛というものも、
この目で見ることはできない。
”見えないもの”にこそ、目を注いでほしい。
”見えるもの”は、この世限りのものであり、
”見えないもの”こそ、永遠に続くものだから。」
音楽、音というのも
あんなに美しくて
心が震えて涙が出るのに、
目には絶対に見えないなと
思ったんです。
（耳や肌で感じることはあるけれど）
夜見たこの花がすごく綺麗だった
先日、
大好きなヴァイオリンコンチェルト↓を
ホールで聴くことができて・・・
チャイコフスキー ヴァイオリンコンチェルト
二長調 作品35
こんな不朽の名曲が、初演は大失敗に終わって
当時の大ヴァイオリニストにも独奏を頼みにいったら
演奏不可能と酷評されて断られた、という
意味不明な事実
（バレエ「白鳥の湖」も初演は不評だったし
ゴッホみたいに天才がすぎるとそうなるのか）
本当に美しくて
涙が出て
素晴らしいオケの奏者の方々や
指揮者の方、
そして
これまでの人生のたくさんの時間を
音楽に費やしてきた
若いヴァイオリニストの方の
この世のものとは思えないような
美しい音が奏でられているこの瞬間に
立ち会えてよかったなと
すごく感じたんです。
先日、別の素晴らしい演奏会を
聴けたとき。
この瞬間にいれてよかった、とやっぱり思った
音楽は
目に見えないものだから
録音や録画でそのときの音を
聴くことはできるけれど
生の音楽は
ホールやどこかの場所で
その瞬間にすぐそばで
その音とともに存在できるということ自体が
本当に幸せで・・・
それは
いつも
弦楽器とアンサンブルの演奏をしていても
感じます。
そして
本番だけじゃなくて
リハーサルや合わせなどでも
それは感じていて・・・
（しかも本番の緊張がない分、
リハーサルの方が自分が楽しめるという点では
大きかったりもする。笑
もちろん本番も楽しいし大好きなんだけど。
本番は１人でも聴いてくれる人がいれば
その人が主役、というか（「聴いて味わう」という
ことにおいては）
たとえ自分がそれほど楽しめなくても（緊張しすぎて）
その聴いてくれた人に音楽を味わってほしい。
（もちろん聴いてくれた人も自分も楽しめるのが
一番いいんだけど。笑
それに、演奏者が感じていることはそのまま聴き手に
伝わっちゃうから（だから、まったく同じ音を
弾いているのに、その演奏者が和声に感じているものの
違いで、全然響きというか音の感じが違ってくる）、
結局演奏している自分が
味わえていたら、聴いてくれる人にもより楽しんで
もらえるんだけど）
芝生に座ってたとき そばを歩いてた鳩
しかも目には見えないもので
演奏するのは生身の人間だから
楽譜の最初から最後の音まで
まるっきり同じ演奏というのは
その瞬間以外は
絶対になくて・・・
（そしてすごく不思議なのが
目には見えないけど 一緒に演奏している
「音」を介しているからなのか
弦楽器の方のそのとき感じていることや
何となく思っていることが伝わってきたり
というのがすごくあって、
（演奏だけじゃなくて、それはふだん
会話していていたり、言葉を交わさなくても
目や顔を見たり、もっといえば見なくても
感じるということは普段でもあると思うけど。
思い込みのときもあるけど。笑）
前にステージ本番でチェロとのデュオを演奏したとき
演奏しながら 私が思わず音楽がのってきたところで
ちょっと前のめりになりすぎてきた部分で
弦楽器奏者の方からの「あわてないで」という声が
（聞こえないんだけど）背中から伝わってきて
（こちら側に少しだけ顔をむけたとかではなかったのに）
そのときの演奏に対して聴いてくださった
審査の先生から「チェロとの一体感が素晴らしいですね」
と書かれていたのがすごく印象的で嬉しかった）
その「二度とない瞬間」、
それを味わえて、その音と同じ空間に
いられる幸せというのを
コンサートやリサイタルなどの演奏会や
自分のステージの本番、リハーサル、
そして家での練習のときにも
感じるんです。
ー 続きます －
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