帰省した日からアマプラで小林聡美さん主演の『ペンションメッツァ』を見ている


これは緑に囲まれたペンションに訪れる人々と女性オーナーの交流が描かれているドラマ


このドラマの言葉はどうしてこんなにも静かに胸に届くのだろう


何気ない暮らしを丁寧に重ねている女性オーナーの姿もいい


ペンションを訪れる人たちが、ぽろりとこぼす悩みは、どこかいまの私とよく似ている


何となく日常を過ごしているけれど、心の中にずっと置かれているような思い


女性オーナー役の小林聡美さんの返すことばは、答えというより、静かに差し出される一杯の香り立つ珈琲のようで


「だいじょうぶ」と言わないのに、だいじょうぶかもしれない、と思わせてくれる


エンディングに流れる主題歌の「空を飛ぶ猫」という歌詞の

空飛ぶ猫を 追いかけたまま
あの人はもう 戻らなかった
5月の風に 誘われるまま
今頃、どこかの山の上 
     あくびをしている

という一節が、
    なぜか息子と重なる


息子は楽しそうに空を飛ぶ猫を追いかけたまま、そのまま行ってしまい、どこかの山の上であくびをしている…


そんな風に想像したら
    涙が溢れてくる


その涙は温かくもあり
   やっぱり哀しい


いちばん大切だった時間を思い出すからだろうか


温かさと哀しさ
その両方をこのドラマは無理にほどこうとしない


ただ、となりに置いてくれる


だから私は見終わるのがもったいなくて、少しずつ、すこしずつ味わっている





今日は父に涙を見せたくなくて、カメラを持って庭にでる


昨年植えた種ニンニクは大きく成長し、今月も周りの雑草を抜かなくちゃとか…




物置小屋の横の暗がりにはフキノトウがいっぱい花開いていて、今年は蕾を取り忘れていたなあとか…





父は何でたくさんミカンの皮を干しているのだろうとか…




花ごと落ちた椿の色合いは何て美しいのだろうなどと思いを巡らしていたら…




いつの間にか
涙は穏やかな風に消されていた