父の膨大な書籍は本棚にまるで石垣を組んだかのように押し込まれていて、そこから旅行記らしき本を見付ける
父が取り出しやすいように積み重なっている本を持ち上げ、「リン、今だ!」との合図で、私は隙間に指を入れて思いっきり本を引っぱりだす
「まだ本を探すか?」と聞かれ、「今日はこれでいい」と返す
翌朝、実家の二階にある洗濯物を干す部屋で日光浴を兼ねた読書タイム
横にはところ狭しと布団類が無造作に置かれている、それを見ると九十を過ぎた父はもう重たい布団類を押入れに仕舞うのは至難の業なのだろうと何とも言えない気持になる
それでも毎日布団は干したいから、ベッドと物干し部屋の布団を入れ替えて、ふかふかの布団で寝るようにしているのだろう
私はその中から毛布を選び床に敷き、15分くらいの読書

『旅で眠りたい』と言うタイトルのその本、旅行記を書くために奥さんと旅に出たいが予期せぬ出費が重なり旅費不足となり、まずは稼がねばならぬと言うアクシデントから始まり
いろいろな事情で得体の知れない安さのアパートに引っ越す運びとなり、出発前にしてこれから向かうバンコクの安宿と同じような環境に身を置いている事を奥さんと一緒にくすくす笑い合ったと言う話で幕を開ける
今日はそこまで読んで、「この本は面白そうだ」と思った
本の発行日を見ると息子が生まれた三十数年前のもので、このようなタイミングで出逢えた旅行記と言うのもいいものだ
帰省して二日間は本を読むような余裕もなく、やっと今朝ゆったりと本を開いた
明日も晴れたら、物干し部屋でこの本を読もう!しかし網戸になっていて冷房は効いていないので15分が限界だな