怪獣凜が生まれてきたとき、怪獣パパは凜の手足を数えたという。
手に5本。
足に5本。
──五体満足だ──。
それを聞いたママは思った。
「五体満足に決まってるじゃん」。
でも、ちょっとまって。
決まってるじゃんって、一体誰が決めたの?
なんてことを考えさせる出来事が怪獣一家を襲っていたのである。
仰々しい書き出しで失礼。
皆さんお元気でしょうか? 怪獣ママです。
とりあえず、この2週間は大変でした。
死ぬほど大変で一生分の涙を流しました。
きっかけは保育園による家庭訪問でのこと。
担任がママに向かって「怪獣君はちょっと他の子と違うようだ」と話を切り出したのだ。
怪獣ママはなんのことだかさっぱりわからず、きょとん。
すると先生はいくつか怪獣君の気になる点を教えてくれた。
・人より物に興味がある
・目線が合いにくい
・注意力がない
・先生を慕って泣いたり、甘えたりしない
・体が固く、抱っこしても緊張がとけない
それを聞いてママは、「えっと、成長が遅いということですか?」と聞いた。
先生は厳しい表情を浮かべ、「とりあえず大學病院での検査をお勧めします」という。
そこではじめて不安になったママ。
心に浮かんだ単語を口にしてみた。
「それは、障害児ということですか?」
「決まったわけではありませんが・・・・調べてみるべきだと思います」
頭が真っ白になるとはこのことだろう。
なんとかつくり笑顔のまま先生を送り出した私はエライ。
先生が帰った後、よくよく考えてみる。
確かに怪獣君は、私やパパが遊んであげなくてもおもちゃで大人しく遊んでいる。
呼んでも振り向かず、こっちを見ないことなんてしょっちゅう。
ミルクを飲んでいる最中にほかの事に気をとられ、飲まなくなることもある。
後追いはするけど、激しく泣いたりはしない。
むろん抱っこもせがんでこない。
それまで当たり前だと思っていたことが急に不自然なことのように思え始めた。
人間の気持ちとは恐ろしいものである。
あわててネットで調べてみる。
結局、指摘された特徴は「自閉症児」の症状に酷似していることがわかった。
怪獣凜が自閉症?
そう思った母親の気持ちを想像してほしい。
なのに怪獣パパはこの話を聞いて「大丈夫だよ」と言ったっきり、友達と飲みに出かけた。
そして翌朝まで帰らなかった。
怪獣ママと凜は2人で眠れない夜を過ごしたことを、ここにはっきり書き記しておく。
そして翌朝、かかりつけ医に駆け込み、事の顛末を話すと女医は言った。
「う~ん、わかんない!」
地面の奥底まで沈んでいた私の心は再起不能に陥った。
とりあえず帝京大学病院の紹介状を書いてもらい、とぼとぼと帰宅。
涙を流して歩く私を、人は気味悪そうに見ていた。
そのとき私が思っていたことは、
とにかく凜が自閉症でも今まで通り育てていこう。
凜が大好きで大好きで、ずっと抱きしめて生きていこう。
けれどもいつか、凜の目を見て謝まろう。
健康に生んであげられなくってごめんねと。
許してくれるかどうかわからないけど、謝りたいと思っていた。
怪獣パパに電話をかけ、自宅へ呼び戻す。
あわてて帰ってきたパパは「絶対大丈夫だから」と言い、そしてのたまった。
「あのさ、今夜、友達と焼肉を食べにいっていい?」
離婚届を取りに行ったことは、言うまでもない(嘘)。
長くなったので、続きはまた明日。
追伸:その夜はママも焼肉の自棄食いに出かけた(バカ夫婦)。
~怪獣・凜のつぶやき~
「むさい焼肉屋でむさい野郎共におもちゃにされました。
やっぱり女の人の方がボクは好きです」
↑ここは天下一美味しい焼肉屋 ↑大阪のおっちゃんに初対面
↑おなか一杯なのにやめて! ↑デブちんの腹の上でポーズ
↑ママが「この人には用心用心」と言ってたよ。用心って何?
※今回は事実をありのままに伝えたいと、あえて「自閉症」という言葉を使いました。
そこに偏見の気持ちや他意はありません。