

『昼顔』には、ドラマ・映画どちらにも、多くの〈虫たち〉が出てきます。
まさに、彼らは『昼顔』のスーパー・サブ!
ドラマでは、北野先生は生物の教師。
北野先生が初めて紗和ちゃんと2人で話した時、ホテルの前で採取して紗和ちゃんに見せた、臭い匂いを放つ〈ヨツボシモンシレムシ〉。
2人で森へ昆虫採集に行った時、北野先生は交尾の時にメスがオスを食べてしまう〈カマキリ〉の話をして、紗和ちゃんに引かれてました。
北野先生が乃里子さんの夫であることを知り、紗和ちゃんが北野先生に別れを言い、その後北野先生が紗和ちゃんに送った手紙には〈ツクツクボウシ〉の話が。
北野先生には〈ツクツクボウシ〉は「オイシー、ツクツク」と聞こえると、手紙に一言添えられてました。
2人が逃避行先で、北野先生が紗和ちゃんに「好き」を言えずに喧嘩になった時、北野先生は〈オンブバッタ〉の話をしました。
〈オンブバッタ〉はオスもメスも、お互いを他のものに取られないよう、ずっとおんぶしてるとか。
生物の教師らしく、北野先生はいつも紗和ちゃんに虫たちの話をしてくれましたね。
映画では、北野先生は〈蛍〉の研究者になっていました。
映画の中では、あれから3年の月日が経過し、ひっそり海辺の街で暮らす紗和ちゃんに、北野先生の講演会を知らせるメッセンジャーとなったのは、部屋に入ってきた1匹の〈カナブン〉でした。
映画の前半、ほとんどのシーンで、蝉の声が聞こえます。
〈ツクツクボウシ〉〈ヒグラシ〉〈ミンミンゼミ〉〈アブラゼミ〉…
特に、2人が蛍を探す川辺では、少なくともその、4種類の蝉の声が確認出来ました。
また、〈蛍〉が、この映画にとって最重要のポイントとなります。
北野先生が紗和ちゃんと、川辺で〈蛍〉を探したりする微笑ましいシーンもありますが、映画の中盤、紗和ちゃんが北野先生に対して起こすある行動の前夜…
川辺を2匹の〈蛍〉が付かず離れず舞っていて、スーっと離れて(私はそう見えた)しまうシーンが数秒入ります。観た方は、わかりましたか?
私には、その後に起こる悲しい結末の暗示のように思えてしまいました…

映画では、〈蛍〉は北野先生の研究対象というだけでなく、北野先生と紗和ちゃんを象徴する儚いもの。
川辺で、3年ぶりに2人が逢った時の会話で、水底に蛍がいると北野先生に言われ、「そっか…見えないけど、いるんだ」と。
その時、北野先生は「うん…いるよ。ずっと」と答えました。
逢えない3年間も、北野先生は心の奥で、ひっそりずっと、紗和ちゃんを思ってた。蛍の幼虫のように…
ラストのあの〈蛍〉は、星空に浮かぶ天の川=ミルキーウェイで、紗和ちゃんを見守り続けるんでしょうね☆
だって、あの〈蛍〉は…
最初から最後まで、北野先生は〈蛍〉だったんだな…
そう思わせる、映画でした。
映画の内容とは別に、『昼顔』に出てくる〈虫たち〉は、いつも北野先生と紗和ちゃんに寄り添っていましたね。
私には、そんな〈虫たち〉は、『昼顔』の大切な登場生物だったと、毎日近くで鳴く蝉の声を聞きながら、ふと感じました。

