日本の公園は平日も休日も、子供とその親でにぎわっていますが、

私がアメリカで住んでいた街の公園は、子供がいませんでした。

国土がでっかいアメリカ、公園も広いのに誰もいないので、まるでゴーストタウン化した地域のようですが、住宅街のど真ん中にある公園です。

治安の悪い地域では特に、子供が公園で遊ぶ習慣がありません。

理由は、公園がギャングのなわばり争いとなっている為です。

明らかに納税していない連中が、まさか公園の領有権を主張してくるとはビックリです。


実際に、ギャングの抗争の銃の流れ弾に当たって、死亡した子供もいます。

昔、日本で、

アメリカのロックバンド、
スキッド・ロウの「18 and life」
(1980年代に発表された曲)

を聴き、

18歳の少年が、虚勢を張る為に撃った銃で、通りすがりの小さな子供を殺してしまった…

という歌詞で、

いや、さすがに歌詞の脚色だよね滝汗と思っていましたが、

アメリカ社会ではある話でした
公園には「ドラッグ禁止区域」などとかかれた看板があります。ポーン

「ドラッグ禁止区域」なんて、まるでどこかに「ドラッグ許可区域」があるかのような表現ですねチーン



そんな看板もむなしく、公園には注射器が落ちていたり。
何も知らない子供がこれを拾って「お医者さんごっこ」なんて始めてしまったら大変ですね。
 



最初は、私はそれでも

「公園は、子供が遊ぶ場所だ!
公園で、なわばり争いをしていいのは猫だけだ!」

と思い、街中をドライブしながら、公園を見つけては子供を連れて行っていました。
アメリカの公園は果てしなく広く、一見、とても楽しいです。
 
ある日、我が家の近くにある、いわゆる黒人さん居住区をドライブしていました。
いわゆる「黒人教会」が点在し、美しいゴスペルが町から聴こえる、個人的にはとても好きな地域です。
 
その住宅街でまた大きな公園を見つけ、喜んで子供を車から降ろしていたら、通りすがりの人々が、ビックリした顔で私と子供を見つめていました。

皆、目を鋭く見開いて、
「このアジア人、ここで何やってんだ?」という怒りの混じった顔でした。

「公園に行く親子」が、そんなに珍しいのか…。

若干不安になりながらも、 公園の中央にある遊具で遊ばせていると、
気づいたら、いかにもギャングの若者が数人集まってきました。



日本人の10代~20代の若者が集まると、皆、会話をしたり、笑ったりするものですが、このギャングは仲間といるのに、誰も笑ったり会話をしません。
皆、個々にスマホを眺めたり、ボーっとしたりしています。
 
そして、ドラッグを使用し始めました。


「ここ、ドラッグ使用禁止区域って看板に書いていますよー!」

なんて、もちろん彼らに言えません。

彼らは北九州の成人式に登場する輩ではありません。


そしてふと気づくと、数人が、気づいたら十数人になっていました。


…やっぱり帰ろう滝汗

退散しようとするも、三人もいる私の子供たち。

子供たちはその恐怖に気づかず、
「やだ!まだ遊ぶ!」と駄々をこねました。

ギャーギャー大騒ぎする三人を抱えて退散している途中で、ギャングの目の前を通り過ぎる時、子供の靴が落ちてしまいました。

「靴ーっ!」と更にヒートアップして泣き叫ぶ子供を抱えて、車へ。

車に子供を乗せ、私一人でギャングの前へ、落とした靴を拾いに。

アメリカ人は通常、親切で、こういう場合は靴を拾ったりしてくれていますが、ギャングはそんなことしてくれません。

私が靴を拾う瞬間、1人が
「おい、2~3ドル持ってるか?」
と声をかけてきました。

日本円で200円〜300円程度。
迫力の割に、セコい金額。


“頭のおかしい人に絡まれそうになったら、自分も頭のおかしいフリをする”

という信念を持つ私は、ラリッた調で、大声でドラえもんの歌を歌いながら、退散しました。
 
それ以来、私も子供を「公園いかないデビュー」しました。

タカをくくってしまう私。 

私ひとりならともかく、我が子の危険を考えたら、とんでもない話です。



ニューヨークのマンハッタンの公園では、日本のように子供があふれています。

しかしマンハッタンの子供があふれる都会の公園も、
逆に誘拐の危険があり、注意が必要だそうです。

親がママ友同士、会話で夢中になっているスキに、スッと誘拐されてしまう…というドキュメンタリー番組を観たことがあります。

 

では私が住んでいた街の子供たちは、
一体どこで遊ぶのでしょうか?

…答えは自分の家の庭。

「つまんなさそっゲロー」と思ってしまいますが、自分の庭に、公園にあるような遊具を買い、そこで子供を遊ばせます。


「庭に遊具なんて置けるスペースなんてあるか」と思ってしまいますが、さすがアメリカ、お庭が広いです。




私の夫の実家も、いわゆる貧困層と呼ばれる住宅でしたが、それでも庭だけは広く、日本の幼稚園の園庭ほどの広さの庭があり、遊具やバスケット・ゴールなどが置けました。

遊具も2万円程度から買えました。子供の安全を考えたら、安いのでしょう。

特にアメリカ人の庭で素敵なのが、
「ツリーハウス」と呼ばれる、木の上に作った、子供の秘密基地。



これはうらやましいです。

しかもツリーハウスは、
パパが作っています。





「◯◯君のツリーハウスはすごい!」
と言われると、おそらくパパも鼻が高いだろうから、パパは必死でしょうね。

YouTube でも、パパたちがツリーハウスの作り方を紹介する動画がアップされています。

私の夫の父は、ツリーハウスを途中まで作って、あきらめたそうですが…。


公園で遊べない習慣は悲しいですが、
こうやって日本ではなかなかできない、
素敵な習慣も発達していくんですね。


そして…
先程、アメリカのロックバンド スキッド・ロウの「18 and life」という曲を聴いて、さすがにあんなことはないだろうと思っていた私ですが…。


夫の上司の子供は、
亡くなりました。

まだ6歳でした。

銃による銃殺でした。


遊ばせていた場所は公園ではなく、
自宅の庭でした。

公園は危なくて遊ばせられないので、
自宅の庭に遊具を買って遊ばせていました。



彼は亡くなった時、ひとりではありませんでした。

小学生のお兄ちゃん、お姉ちゃんの目の前で。


犯人は捕まっていません。

大きな米軍基地がある、比較的治安の良い中間層が住むエリアでしたが、

ギャングによる銃の流れ弾だろうと言われています。




最後に、


代々木公園に子供たちとバスケに行ったら、

日本のテレビ局から、私の子供たち3人がインタビューを受けました。


その放送で、


質問者

「外国に比べて日本が優れているところは?」



第2子

「平和。

戦争がなくて平和。」




第1子

「そう!日本は平和だよ!」




質問者

「アメリカは?」



子供3人で声をそろえて

「銃、銃、銃!

Guns, guns guns!」



第1子

「友達死んだよ。」



第2子

「日本の道は、普通に歩けるけど、


〇〇(住んでいた街)は、危なくて歩けない道がある。」



第1子

「日本(人)は恵まれているって知らない。

日本の友達みんな、勉強やだ、学校やだって(言ってる)


外国には、学校に通いたくても通えない子供が沢山いる。」



1980年代で、18歳の少年がまさか虚勢を張るために撃った銃で、通りすがりの子供を殺してしまった…という社会問題が歌になるとは…。

アメリカの銃所持は法律どころか憲法で認められています。

危険すぎて、護身のために銃が必要だなんて、

銃規制は不可能でしょう。