12月のある日、児童相談所の職員キャリッサから…



「凜、あなたのご主人に何度かお会いしたんだけど、

あなたのご主人…

双極性障害ではないかしら?」





双極性障害

躁鬱の?


…うーん、

いや、一見、夫が躁鬱状態に見えるのは、双極性障害ではなく、

薬物乱用のせいだと思うけど…。」




しかしプロのキャリッサから見たら、夫は双極性障害に見えるらしいです。


プロから見た方が正しいのかな…?


いや、私は夫とほぼ毎日一緒におり、

夫の薬物依存性ビフォー・アフターを真隣で見てきました。


私が知る夫は、双極性障害ではなく、

薬物依存性なはず…。





双極性障害は以前、躁鬱病と呼ばれていました。


私が20代の時、職場に一見さまの40代のお客様が現れて、マシンガントークで商品の質問をされました。


一生懸命、説明をするも、2時間ほどループのような質問をし続けられ、

質問の内容から、そちらのお客様はその商品の知識がない方でした。


ついに上司から私は呼ばれ、

「いい加減にしろ。何時間付き合うんだ。」

と裏で注意を受けていたら、



そのお客様が

「買います!」と…。


100万円の商品でした。


商品の知識がない方には、信じられない高額なものでした。



お客様が帰られた後、同僚に、

「凜、あのお客様は、おそらく躁鬱病だよ。

私の大学の同級生で、躁鬱病になった子がいたんたけど、まさにあんな感じだった。」




それを聞いて心配になった私は、翌日、お客様に電話をしたら、


お客様のお母様がお出になられて、


「どうしてあんな高価な物を売りつけたんですか!」


と叱られました。



しかしその日の夕方…


私の退社後にお客様が再度現れて、


今度は、昨日とは全く関係ない、80万円の商品を買われて帰ったそうです。




私宛に、手に抱えきれないほどの花束を置いていかれました…。


本当に手に抱えきれないバラの花で、これを持って東京の街を歩かれたのか…と驚きました。



その後、私はお客様にお礼の電話もするも、

またお母様がお出になられて、


「二度と電話をかけてこないでほしい。」

と言われました。




以前、テレビで双極性障害のドキュメンタリーを観たのですが、


鬱状態より、

躁状態が厄介だそうです




とある双極性障害の男性は、突然、躁状態の時に、

「そうだ、起業しよう!」と思いつき、


町の電話帳に載っている見知らぬ人々に片っ端から一晩中、電話をし続けて、


「起業するんで、融資をしてください!

え?ダメ?

もう絶交です!」


と電話をかけていました。


そちらの男性は奥様がいらっしゃいましたが、

家族でも躁状態を止められず、本当に大変そうでした。





やはり夫は、

双極性障害(躁鬱病)ではないはず。

全く症状が違います。


夫は市販薬の咳止めを乱用し、

ボーッとしたり、

電池切れのように倒れたり。

そんな状況でも仕事は行っていました。




キャリッサは、

「あなたのご主人に、今週、精神科の受診をすすめたわ。


米軍病院ではなく、

州立の精神病院よ。」




「夫は何て?」




「精神病院に行くって。」




「え!?ポーン

随分あっさりと受診が決まったね…。

信じられない…。

ありがとう、キャリッサ…。

キャリッサはすごいな…。」




「良かったわね!」




「薬物依存性でも、

双極性障害でも、

とにかく精神科の先生にかかれば、もう安心だよ…。


本当に良かった。

出口が見えてきた…。


この2年、長かった…。」





しかし…



数日後、


困惑したキャリッサが我が家へ…



「凜、今日、あなたのご主人の精神科の受診日だけど…

あなたのご主人は来なかったわ。


さっき、あなたのご主人に会いに行ったら、普通に職場にいて、

『忙しいから帰れない』って。」



そんな…


ようやく出口が見えた、

と思ったのに…



「ごめんなさい、キャリッサ…。

もう一度、チャンスをください!

次回は、私が夫を引きずってでも必ず精神科へ連れて行きます。」