保育園生活にすっかり慣れた私の子供たち。


しかし私は心配していることがありました。



ある日、私は先生に呼び止められました。



ぎくっポーン


やっぱりチーン


第1子を見てくれている、

もう1人のローズ先生。


ローズ先生も黒人さんでおそらく50代。


第1子を送り届けた後…

「凜、話したいことがあるの。」



「…はい。」


ローズ先生が話したいことは分かっていました。


廊下で、


「あなたの第1子なんだけどね。


お勉強の時間も、遊びたくて走り回ってしまって、声をかけて座らせるんだけど、

やっぱり『走り回りたい!』と…。


それから言葉のことなんだけど、


英語の単語も…。」



やっぱり…


ローズ先生の話の途中で、

涙が出てきてしまいました。


するとローズ先生は、


「え!?凜?

どうして泣くの?」




「実は…私もそのことをずっと心配していて。」




その瞬間、


「うわ〜ん!」


第1子の泣き声。


廊下の窓越しに、私を見て泣いている第1子。

そして廊下を飛び出してきて、


「私が悪い子だったから、

ママが先生に怒られた!

ごめんなさい!」



ローズ先生は、

「あなたは悪い子じゃないよ?

それから私は怒ってないし、

ママも怒られてないよ?」




私も、

「あなたは悪い子じゃないし、

ローズ先生は怒っていない。

ママが泣いたのは、ママの器量が足りないから。

心配かけてごめん。」



しかし大泣きする私の第1子。


「今日は…第1子を連れて帰ってもいいですか?

私が泣いたせいで、この子が心配しているから。」




ローズ先生は、

「え!?帰らなくていいのよ。

私は凜を誤解させたみたい…どうしよう。」




「いえ、ローズ先生。

私はローズ先生が、私の子供を心配してくださって、とても嬉しいです。


私の器量がないせいです。

第1子には、特に今年は辛い思いをさせたので、

今日は2人で過ごそうかな、と。

本当にそれだけです。」




その日はまた第1子と、

2人だけで過ごしました。



翌日。


朝、ローズ先生が走ってきてくれました。


「凜、待ってたのよ。」



「ありがとう、ローズ先生。」



「2人で話しましょう。

コーヒーは好き?」



「はい、ありがとうございます。」



個室に行き、ローズ先生から、


「まず、昨日はごめんなさい。

私はあなたを泣かせてしまい、申し訳なくて昨夜は眠れなかった…。」




「ええ!?ローズ先生をそこまで思わせてしまった…

私こそごめんなさい!

もともと最近、私はよく泣いてしまうんです。

恥ずかしいし、情けないですが…。


第1子のことは、もう何年も心配しているんです。

夫の母が、夫の弟に注意欠陥多動性障害(ADHD)があり、

私の第1子に似ているから、と。」





「ほらね、凜。

やっぱりあなたは私を誤解させてしまった。」





「え!?」




「私は保育士として30年以上働き、キャリアがある。

沢山の子供を見てきた。


私は小児精神科医ではないが、保育士として、子供のことを1番理解している。


あなたの第1子は

注意欠陥多動性障害(ADHD)ではない。


性格が元気いっぱい、

ハッピー・チャイルドなだけ。」





「え!?」





「私があなたに話したかったのは、

保育園でのあなたの第1子の様子よ。

どのように保育していくか、そういう話をしたかったの。」




「私は先生たちにご迷惑をかけているのでは、と…。

更に他のお子さんたちにもご迷惑をおかけしているのでは…。」




「他の子供たちに迷惑がかかるって?


あなたの第1子以外にも、

お勉強の時間に走り回っている子供は何人もいるのよ?


もっとすごい子がいるわ、

エリック(笑)


ちなみにエリックとあなたの第1子は今や親友よ。」





「そ、そうなんですね笑い泣き

ついエリックに、まるで甥っ子のような親しみが…。」





「凜、

私は保育士歴30年以上の

プロフェッショナルよ。


私は自信を持って、

子供たちを保育している。

あなたは私を信頼していい。」


 


かっこいい


日本だと、

「私はプロフェッショナルだ。私には自信がある。

私を信頼しなさい。」

なんて言う習慣はあまりないですよね。


かっこいい。



「微力ながら…」とへりくだるより、


「私はプロフェッショナルだ。私には自信がある。

私を信頼しなさい。」


と思って働くなんて素敵だな。




「凜、何か困ったら、

私があなたを助ける。


私に

頼りなさい」


かっこよすぎる

保育士さん


子供ができて、

尊敬する職業のひとつは保育士さんです。