児童相談所の職員キャリッサに言われ、保育園入園の手続きの為、役所へ行くことになりました。


キャリッサは迎えに行くと申し出てくれましたが、

私は役所の前に行きたい場所がありました。



それはファストフードのプレイエリアでした。


子供たちを大事なアポイントメントに連れて行く前には、こうやって思いきり遊ばせるようにしていました。

そうしないと、第1子、第2子はヤンチャすぎて、役所でじっとできないからです。




アメリカの公園は、ギャングが縄張り争いをしていて大変危険な為、子供たちを遊ばせることはできません。



公園はドラッグが落ちているのは当たり前、

運が悪ければギャングの縄張り洗いに巻き込まれて、銃の流れ弾で子供が死亡する事件もあります。






↑「公園はドラッグ売買の場所ではない!
公園は子供達が遊ぶ場所だ!」

と、日本ではごく常識なことを掲げている看板。



米軍基地内に公園はあり、基地外よりは安全でしたが、

ヤンチャすぎる第1子はこの頃、木登りにハマり、また別の意味で危険でした笑い泣き





ファストフードのプレイエリアで子供たちを2時間ほど遊ばせ、


キャリッサに言われた役所の住所へ。



アメリカは区画整理がキッチリされていて、

住所だけで目的地へ行くのは簡単です。


住所は、◯◯通りと必ず、通りの名前が明記されて、あとは順番に並んだ番地へ進むだけ。



しかし、


何故かキャリッサに送られた番地がない滝汗



早めに出ていたので、余裕があると思っていたのですが、3時に近づいてきました。


役所は予約時間を過ぎたら、

「もう今日はできない、また今度、改めて予約を取り直せ。」

と言うでしょう。



するとキャリッサから電話がかかってきました。


「凜、今どこ?」




「近くまで来ているはずなのに、番地が見つからなくて…。」




「近く?どこ?」




「もう近いのかどうかもわからない。

どこと言われても、よくわからない。」


何故かこの時、私は号泣してしまいました。


「アメリカのことはもう何一つわからない、

わからないことだらけ。

もう嫌だ。」




「凜、落ち着いて。

私が迎えに行くから、あなたのいる番地を教えて。」



しばらくすると、

一台の車がやってきて、優しい笑顔のキャリッサが…。



「凜、まだ間に合うから心配しないで。

私についてきて!」



役所に行くと、

アメリカならでは…。


役所の職員に、

「まず誓約書と、同意書と、注意事項を読んで、

読んだらサインを。」


A4サイズの長い文章の紙を何枚も渡されました。



私は英語は2級レベルですが、こういう役所の紙は苦手です。


例えば日本語でも、役所の手続きなどの書類は、

車=乗用車

となるように、


英語も同様です。



例えば皆様、「車」の英語はわかりますよね?

「カー」です。


しかし役所の手続きの書類は、

car= vehicle


car「カー」ですが、


vehicleは読めますか?


 「ヴィェコウ」です。


難しいですよね滝汗




私は沢山の書類を渡されて、途方に暮れているとキャリッサが笑顔で、


「心配しないで、書かれていることを簡単に要約して凜に伝えるから。

そしてサインして。」




「ありがとう。」




「じゃあ読むわね。」




「ねえ、キャリッサ。」




「何?」




「…本当にありがとう。

前回も今回も、あなたに失礼な態度を取ってごめんなさい。

私の器量が足りないせいです。


あなたは最初から、こんなに優しくしてくれているのに、

嫌な思いをさせて、本当にごめんなさい。」




「私は嫌な思いなんかしてないよ。

私は凜を助けたいの。」





「見ず知らずの外国人の私をこんなにも想ってくれるの?

あなたのお仕事とはいえ…

いや、お仕事だからこそ大変な労力でしょう。

本当にありがとう。」




なお、渡された同意書には、


私の子供が保育園に預かってもらえる理由に、


なんと…こう書かれていました。




「父親の薬物依存性により、


外国人の母親が大きなストレスを抱えたまま、

ひとりで子供3人を養育しており、


児童相談所は、

子供たちの身の安全を懸念する。



よって子供3人を昼間5時間、

保育園で見張り、


母親の休息と、

子供たちの

身の安全を確保したい。」



ああ、

そういうことか


読みながら、ビックリしました。


内心、

「児童相談所がここまで尽力して、私の子供たちを保育園に入れてようとしてくれるのは、何故だろう?」

と不思議でした。




それは

私ひとりで子供たちをみることに対して、


子供たちの安全に懸念がある、


と思われていたのです。




でも仕方ない、と思いました。


現に、私は毎日辛くて、子供たちとめいっぱい遊んであげたりできていなかったからです。




私の第1子は、言葉遅れがありました。


それは明らかに私のせいでした。



私が沢山本を読んであげたりしてあげられなかったからです。




第1子、第2子は、ヤンチャで冷蔵庫の上に上ってジャンプするのが好きでした。


今までよくケガもなく、やってこれました。




お店では走り出す第1子を必死で追いかけました。


ケガだけでなく、誘拐される心配もあります。

 


本当に今まで運が良かっただけ、


本当にたまたまでしょう。



私ひとりでは、もう無理だったのでしょう。



私の器量のなさは、情けなくもありますが、

私には助けが必要でした。


そして私が助けてほしかったのは、

子育てでした。




私が何よりも大事な宝物は、私の子供たちです。


同意書を読んだ瞬間は、ビックリして少し傷つきましたが、

改めて読み返してみると…




「父親の薬物依存性により、


外国人の母親が大きなストレスを抱えたまま、

ひとりで子供3人を養育しており、


児童相談所は、

子供たちの身の安全を懸念する。



よって子供3人を昼間5時間、

保育園で見張り、


母親の休息と、

子供たちの

身の安全を確保したい。」



私の大切な子供たちの身の安全を、心配してくださった児童相談所に、

ありがとうございます、

と心から感謝をしました。