11月のある日、Family advocacy という軍の支援団体の女性たちが我が家に来ました。


「私たちがあなたを助ける。全部話して。」




私は何とか助けてほしくて、すべてを話しました。



Family advocacy は数回来てくれました。


ただやはり、ホームシックや子育てストレスなどの相談とは異なり、誰かに話してどうにかなる問題ではありませんでした。


それに「助け」ってなんでしょうか?

誰かがどうにかできる問題ではないんですよね…。



私がひたすら話して、Family advocacy がメモを取り、毎回それで終わりでした。


話した後は、

「どう?あなたも少しは気分がラクになったでしょう。」

と言われますが、

その逆で…毎回、どっと疲れました。




アドバイスもいただきました。


「辛い時は、家事はしなくていい。」

→しなかったら、誰がする。

翌日は雪だるま式に2倍になる、掃除と洗濯。



「深呼吸しましょう。」

→もはやそんなレベルではない。






更に家庭訪問の時、Family advocacy に、

「寝室を見せて」と言われました。


我が家の寝室には、

大きなキング・サイズのベッド1台、


床に布団が1組、

(私が高校卒業時、東京に進学してひとり暮らしをする為に、母が故郷のデパートで買ってくれた、

高価な布団をもう15年以上使っていました。

すっかり慣れてしまい、他の寝具では寝つけなかったのです。)


第1子の為に買ったベビーベッドもありましたが、


乳児期から3人とも私と布団で添い寝していた為、

3人ともほとんど使いませんでした。



今までは、

キング・サイズのベッドに、

夫と第1子、第2子が寝て、



布団に、

私と第3子が寝ていましたが、




夫がいなくなってから、

キング・サイズのベッドに、

私と子供3人で寝るようになりました。




しかしFamily advocacyに、


「子供にそれぞれ個室を与えて、

赤ちゃんでも個室で、

ひとりで眠らせる習慣をつけないと

いけない。」




「日本では、子供と添い寝は普通なんですよ。」




「日本はおかしい国ね。」




「…アメリカで時々、そう言われるのでくやしくて調べてみたら、


日本以外のどこかの国の小児学会の文献をインターネットで読みましたが、


添い寝はメリットも多いんですよ。


子供にとって、夜は不安でこわいものらしいです。

しかし親が隣に寝ていると、

子供は安心感と、親からの無償の愛を感じるらしいです。



また乳児の夜泣きも、

母親にとっても、わざわざ起きて、他の部屋に行くのも負担です。



私は授乳していた時は、いつも布団に乳児と添い寝で、

泣いた瞬間、私も横になったまま添い乳をしたので、ラクでした。


赤ちゃんも私も体を起こさなくていいから、

赤ちゃんもすぐ寝落ちしたし、母親の私も半分眠りながらでした。



アメリカでは布団ではなく、ベッド文化なので、乳児との添い乳は危険なので、広まらないんでしょうね。」








それでもFamily advocacy は、

「子供が個室を持ち、

ひとりで眠ることは、

自立を促す。」



と言ってきましたが、


「あ、それなら尚更、今は添い寝します。


早くともこの子たちが自立をするのは、

高校卒業時または大学卒業時でしょうから。笑い泣き




私の本音


アメリカ人に、

子育て論を語られたくない。


アメリカの殺人事件は、

日本の15倍もある、

日本より明らかにおかしな国。


少年犯罪も相当だと思う。


同じ州内で、

子供が17歳まで生きられない、

少年ギャング同士の殺人事件が横行している街もある。




ほっといてほしい。



そんなある日、

Family advocacy に、


「あなたの子供たちを保育園に預けることができる。

米軍病院から子供たちの予防接種記録を取り、

保育園に手続きに行くように。」


と言われました。



子供たちを保育園に預けられるのは嬉しかったです。


私ひとりで、きちんと子供たちをみてあげていられなかったからです。


それに子供たちには、同世代のお友達をいっぱい作ってあげたかったからです。


第1子の言葉遅れは私のせいです。


沢山本を読んであげたり、私が元気いっぱいに、お話をしてあげられていませんでした。





しかし手続きの為に子供を米軍基地の小児科に連れていったところ、

仲良しだった小児科医のお医者様が私を心配してくれました。


「あなたがFamily advocacy に何を相談しているかは知らないけど、

Family advocacy にだけは、家庭内のことを相談しないほうがいい。


彼女たちは、米軍妻の有志の団体だが、

大した資格もなく、

実際は、他人の家のトラブルに顔を突っ込み、

噂話が大好きな、ヒマな主婦ばかり。



あなたの話も、どうせ噂話にされる。


学校のPTAママたちと変わらない。」




「そんな悪い人たちには思えなかったんですが…。」




「とにかくFamily advocacy には何も相談をしない方がいい。

『他人の不幸は蜜の味』のような、噂話が大好きなヒマな米軍妻のグループだから。


あなた、Family advocacy に相談して何か変わった?

『深呼吸しましょう』

『たまには家事をサボっていい』程度のアドバイスで、

何も変わらないでしょ。」




「うーん、しかしまあ、私の相談は本当に出口がないような話なので、

あれが精一杯のアドバイスだとは思いますが…。」



それでも私は、Family advocacy に言われた通り、子供たちの予防接種記録を持って、米軍の保育園へ入園の手続きに行きました。



しかし米軍保育園に行くと、園長先生が、

「今は保育園は満室よ。

誰が入園できるなんて言ったの?」




「Family advocacy に言われました。」




「Family advocacy は何の権限もない団体よ。

Family advocacy がまたこんな勝手なことを言ってウチも困るわ。


あなたもそんなところに相談しない方がいい。

Family advocacy は、噂話が好きな、ヒマな米軍妻のグループだ。」




私はこの時はとても落胆しました。



子供たちを保育園に入れてあげたかったからです。



更に、Family advocacy との決定的な不信感が起こりました。



当時、Family advocacy の受付に、ボランティアとして勤務されていた日本人の奥様がいました。


彼女はFamily advocacy のメンバーが集うホームパーティーに呼ばれ、参加したら、


Family advocacy のメンバーが

私についての噂話をしたそうです。


「あの日本人女性は、

『深呼吸しましょう』などのアドバイスをしても、

なんか反応が薄い。


英語はどこまで理解してんのかな。」



確かに私は、きちんとアドバイスを聞くフリをすれば良かったのですが、


いつも

『深呼吸しましょう。』


『家事は辛かったら、やらなくていい。』


というアドバイスを聞いて、


『わかりました、

明日から深呼吸を頑張ります!✨』


と言えるほど、

気力が残っていませんでした



何よりホームパーティで、

私についての噂が上ることが本当に嫌でした。


日本だと、個人情報保護にあたり、クレームが言えるでしょうが、

アメリカではこういうのに構っても、時間と労力の無駄です。


私がFamily advocacy のお偉いさんにクレームをしたところで、お偉いさんが守るのは、私ではなく、いつも働いて一緒にいる同僚です。


何より私に情報提供をしてくれた日本人女性の立場も悪くなります。



それにもうそんな気力もありませんでした。



私はFamily advocacy の助けを得ることをやめました。



しかし

あの時、Family advocacy がくださったアドバイスの中のひとつ、


「あなた、メイクをしてみたら?

少し気分が変わるよ。」



あの時は、そんなアドバイスをもらっても苦しいだけでした。



しかし今は気分が苦しい時、あえて一生懸命、メイクをして外に出ます。



出かける場所も会社か、子供と外出する時だけですが、


メイクをすると確かに、みじめな気分がなくなります。


正直、今の状況はあの時より悪くなり、ずっと苦しいのですが…



不思議なものです。