夫が軍警察にされ、これからどうなるのか苦しい時、

ギターを弾きました。


アメリカの精神科には「音楽療法」があります。

楽器を弾いたり歌ったりして、精神疾患を治すもので、医学的根拠はあるそうです。


欧米では「音楽療法士」が国家資格の国も多く、大学には音楽療法士を目指す学部もあります。



アコースティック・ギターは2013年の春、私が夫の薬物依存性に気づいた直後、

死ぬほど心配した私に、夫が買ってくれました。


あの時期、

「アメリカの楽器屋さんに行ってみたい。」と言う私に、


夫は、

「最近、君にたくさん心配かけてごめん。

少しでも君の気分が幸せになるように、何でも買ってあげる。

高いギターでもいいよ。」



あの時の夫は、

私にプレゼントを買ってゴマかす…というつもりではなく、


夫なりに、

家族を壊さないようにしようと頑張って、買ってくれたんだと思います。



日本では高価なアメリカ製ギターが当然、アメリカでは3割ほど安かったです。

子育て優先なので、やはり高価なギターは選ばず、

7万円弱の気に入ったマーティンのアコースティック・ギターを買ってもらいました。


夫にギターを買ってもらって喜ぶ私を見て、あの時の夫も確かに本当に嬉しそうでした。





夫がいなくなり、

家では子供たちが元気に走り回る中、私はリビングでギターを弾きました。


何時間も弾き続けました。



何故かあの時、繰り返し弾いた曲は、


①森山直太朗の「桜」

②GLAYの「However」


特に森山直太朗やGLAYのファンではありませんが、

この2曲のコード進行が、

私の涙を

内側へ流してくれました。


不思議な感情ですが、

涙が外にあふれず、

目の中から体の中に流れて、苦しい心を流してくれました。



GLAYの「However」は20年以上前、

私が高校3年生の秋に流行りました。


進路が決まりかけていた時期で、

春にはみんなと離れる寂しさと、

上京に希望を持っていた、高3の秋を思い出しました。






こんな時期に、

旅行と

ギター。


「意外に元気だったんだな」と思われるかもしれませんが、


苦しくて苦しくてしかたがない時に、


旅行とギターに必死でしがみつきました。



旅行と音楽、


今でも私が人生で

一番好きなものです。



私の趣味は、

旅行、楽器、読書です。



若い頃は、バックパッカーの真似事をして、中東やヨーロッパをまわりました。


残念ながら経済的に、もう海外旅行は無理でしょう。

寂しいです。



読書は子供の頃から大好きで、

日本にいる時は本屋さんが大好きでした。


いつも本屋さんにしばらくいて、読んでみたい本をじっくり一冊選んで買いました。

本はだいたい、その日のうちに読み終わりました。

だから沢山、本がありました。

学生の頃、夏休みに新潮文庫の本を50冊読み、

新潮文庫から「ヨンダ」と呼ばれるパンダのフィギュアが届きました。

かわいくて気に入っていましたが、そのパンダはもうありません。

おそらく夫に売られ、薬代に代わったのでしょう。


大好きだった読書、この時期はできませんでした。

読んでも読んでも、頭の中を通り抜けていくのです。



それから大好きな楽器も、もう弾けなくなりました。


のちに夫の薬物依存症はどんどん進行し、家中のものが…、


私の洋服

(高価なものではありません。しまむらで買ったような服。)や、

子供のゲームソフトや、ポケモンのぬいぐるみ、漫画まで

薬の為に売られる事態がおきましたが、



何故か一番お金になりそうな、このギター…

おそらくもう2000円ほどにしかならないでしょうが、


これは売られませんでした。