夕飯の後、私はまた疲れてしまい、

(何であんなに疲れていたのか意味不明。)


また2段ベッドの上で横になり、

少しウトウトしていました。


後でシャワーは浴びようと思いながら…


確か他の人の小部屋に入ってはいけないと言われていたはずでしたが、


代わる代わる他の人が入ってきて、


修学旅行の夜みたいにギャーギャーうるさかったです。




すると、イキナリ静かになった…と思っていたら、



ビーッとサイレンが鳴り、



ガチャッと部屋が施錠されたのがわかりました。


私は飛び起きました。


「もう大部屋に出れないの?」




「8時に施錠だよ。」




「え!?」



そこで私は何故か、

喘息のフリをしました(笑)


ちょっと外(小部屋の外)に出たかったので。


「く、苦しい!喘息の発作が…!」




「え!?大丈夫!?」



ルームメイトのA子とB子がブザーを鳴らし、

インターフォンみたいなもので、


「ルームメイトが喘息の発作があるみたいです。」


と伝えてくれ、


看守が迎えに来てくれました。



歩いて医務室みたいな場所へ行き、

少しの間、

吸引器を使わせてくれました。



私はただ少し歩きたかったのです(笑)




部屋に戻されると、

痩せた黒人のA子は眠っていて、


ちょっと感じが悪い方の、

太った黒人のB子に、大丈夫か聞かれました。


「演技だよ、ちょっと歩きたかっただけ。」



「だと思った。(笑)」



そこから私は2段ベッドに上がり、

窓の外を眺めました。


窓の外は真っ暗でした。



子供たちは何してるだろうか…

ご飯は食べただろうか…



何でこんなに

めちゃくちゃになったんだろうか…


この私が、

拘置所にいるなんて。



そう思って、泣きました。


眠っているA子を起こさないように、静かに泣きました。



すると2段ベッドの下の段にいたB子が、


「ねえ、凜。下におりてきて、一緒にお菓子を食べよう。」



2段ベッドの下に降りると、

B子が、まあ座れという態度で、

寝ている体をずらしました。


私がそこに座ると、

B子はチーズ系のスナック菓子を開けて、

私にすすめてきました。




B子は寝たまま、スナック菓子を食べながら、


「凜は子供いるの?」



「うん。3人。」



「凜は何歳?」



「34歳。」



「あら、同い年ね。◯年生まれ?」



「へえ、B子も34歳?若く見えるね。」



「私も子供が3人いるのよ。


長女が21歳で、

次女は中学生、

長男はあなたの上の子供と同じ4歳。」



「え、待って!

一番上の子供が21歳?」



13歳で母親になったの?ポーン




「そうよ、私は孫も2人いるよ。

5歳とまだ生後◯ヶ月。」

(↑忘れた。)


29歳で、おばあちゃんになったの?ポーン





「ところでB子は何でここにいるの?」




「私も凜と同じ、

大事な男にハメられたのよ、

無実なのに。」

  



「ふーん。」(ウソだな。)




「凜の旦那の名前を教えて。」




「◯◯。」




するとB子は、でっかい声で

「ファッキン・◯◯!!


ファック・ヒム!!」


叫びました。ポーン



私が笑っていると、


B子は続けて、

「ファッキン・△△!!


ファッキン・✖️✖️!!


ファッキン・◎◎!!」



おそらくB子の旦那さんだか彼氏の名前だと思いますが、

違う男性の名前も叫んでいました。


男性の名前は、

3人いましたが笑い泣き




私は苦笑いしながら、

「Yea…f*** them!!」

と言い、


2人で笑いました。




私は笑いながら、


こういうの久しぶりだな…と思いました。



同級生の女性とこんなに笑って、

男性について「あんな男いらないよね。」と笑い合って…。


確か10代や20代の頃、

こうやって女友達と笑って、

辛かったことさえ

笑い飛ばしていたな。


懐かしいな




B子は力強い笑顔で、



「私はここを出たら、


もう田舎には留まらない。


ニューヨークかアトランタに行くよ!


都会に出る。


田舎はダメだ、のまれてしまう。


ニューヨークかアトランタで、

大都会

新しい人生を生きるんだ。」






「それは賛成だよ。


私も、もともと日本の田舎出身なんだ。


だから18歳の時、進学で上京した。


ワクワクしたよ、大都会。



都会は良い。


田舎はダメだ、


田舎にいると、

可能性や将来が、もう決まってしまっているようで、嫌だった。」


 

 

それを聞いたB子は、



「そうだよね!


ニューヨ〜〜〜ク!!

アトランタ!!」



と、今度は嬉しそうに叫びました。



嬉しそうに叫ぶB子を見ながら、

胸が痛みました。



18歳で進学の為に、

都会に出るのとは、

ワケが違う。


私はニューヨークにもアトランタにも旅行で行きましたが、街は薬物依存性にあふれ、

特にアトランタのダウンタウンはゾンビと呼ばれる薬物依存性者があふれ、とてもじゃないけど人間が生活をできる場所ではありませんでした。


※写真はゾンビの街で有名なフィラデルフィアのケンジントン。


もともと悪人ではなく、

普通の人々が医師から処方された処方箋(痛み止め)で薬物依存性になり、やがて処方箋が高くて買えなくなり、処方箋より安いヘロインでこうなります。



薬物依存症のB子が、

田舎を抜け出して、


大都会に出たところで、


きっとうまくはいかないだろう。


大都会のドラッグにのまれ、

もっともっと悲惨になるだろう。



そうならないでほしい、


どうか子供の為に…。


母親を無条件で愛してくれる、

最愛の子供の為に…。




私のこんな願いも、


きっと届かない。