精神科のグラッド先生との通院は、すっかり私の楽しみになりました。
同世代の女性、
同じ3歳児の母親、
カウンセリングとはいいますが、
40分間、
頼りになる、気の合う女友達と会話ができる、という感じでした。
しかし本当の女友達には絶対に話せない、
夫が薬物依存症であること。
唯一、グラッド先生には話せました。
いつも泣いていたわけではなく、
楽しい子育て話もしました。
夫もグラッド先生の元に通院を始めました。
精神科のお医者様の元に通えば、
よくなるはず…
お医者様がガンを治すように、
精神科のお医者様なら、薬物依存症を治せるだろう…そう認識していました。
そんなある日、グラッド先生の診察が終わり、
私がお礼を言うと…
グラッド先生が
「大切な話があります。」
「はい。」
「実は…私があなたに会えるのは、次回が最後になるの…。」
「え…っ。」
そう言われた瞬間、
あっという間に私は涙が出てきました。
グラッド先生は、
「実は私はテキサス州の米軍基地に転勤になります。」
「え、テキサス州って、グラッド先生の…。」
「そう、私の故郷です。」
心配そうに話してくれたグラッド先生、
しかし私は満面笑みで、
「それならグラッド先生のご両親のお近くですよね?😊」
グラッド先生も満面の笑みになり、
「そう、両親の家とは車で通える距離になるの。」
「ああ、良かったです!
私もとても嬉しいです!
あなたの息子さんは、おじいちゃんおばあちゃんのそばにいられるんですね!」
「そうなの!」
「本当に私は嬉しいです。
確かに私はグラッド先生に会えなくなるのは、とっても寂しいですが、
でもグラッド先生がご両親の近くに赴任が決まったことが、
心の底から嬉しいです!」
「私も、あなたに会えなくなるのは寂しい。
私はあなたに会えるのが毎回楽しみだったし、
あなたとの会話をエンジョイしていました。
そして、あなたを友達のように思っていました。
何も心配しないで、
あなたが私の後任の精神科医のもとに通院できるようにするから。」
確かにグラッド先生とは楽しい会話もしましたが、実際は私の夫の薬物依存症がメインで、
希望もない、
出口もない、
辛い会話ばかりで、
グラッド先生も、私の聞くのが辛い日もあったでしょう。
それなのに、
“あなたに会うのが楽しみだった。”
とおっしゃってくださり、
感謝の気持ちでいっぱいでした。
だからグラッド先生とは、笑顔でお別れをしようと決めました。